<オリックス3-4楽天>◇7日◇京セラドーム大阪

 星野マジックで楽天が久々連勝だ。1点リードで迎えた敵地オリックス戦の9回、先発の専門家であるダレル・ラズナー投手(30)をマウンドに送った。右内転筋痛が癒え、6日に1軍昇格したばかり。前日の試合は調整登板…かと思いきや連投で、クローザーに抜てきした。右腕は期待に応え3者凡退。「人生初めて」のセーブを挙げた。リーグ戦再開後12試合も続いていた「●○」を交互に繰り返す「抜け抜け」も脱出。6月11日以来の「○○」で借金5まで減らしてきた。

 星野仙一監督(64)が9回のマウンドに送り出したのはラズナーだった。先発田中が6回3失点と今季ワーストの内容。7回から有銘-青山と継投でしのいできた。故障明けの助っ人は、昇格した前日6日も試合を締めくくっていた。この日の試合前、監督は「調整登板だよ。久々だったからまだ少し、ボールが高かったな」と話していた。だが監督独特の感性がここ一番で出た。

 ラズナー自身「連投自体ここ6年間でなかったこと」という未知の登板。だが助っ人はクローザーの適性を存分に示した。1点差の重圧を感じさせないポーカーフェース。先頭大引に対し直球を続け3球三振。1番坂口も直球で押し遊ゴロ。最後の打者山崎浩に対しては一転、大きなカーブを続け2球で追い込み、最後はアウトローいっぱいの直球。また3球三振で初セーブを挙げた。監督に新境地を開拓してもらい「先発と同じ気持ちで、と言い聞かせて投げた。コンディションも問題なかったし、与えられた場所で全力を尽くし、貢献するだけさ」と前向きだった。

 適材適所の投手配置について、絶対の自信を持っている。セーブ日本記録を樹立した中日岩瀬を抑えとして登用したのは星野監督その人である。自身も現役時代に先発、抑え両方を経験。初代セーブ王に輝いている。「コントロールが良くて、ボールが手元で動くタイプ。そしていつも冷静でいることができるメンタル」と、その資質を列挙した。理想型はヤンキース不動の守護神、マリアノ・リベラだという。

 星野監督

 何があってもじっとして、涼しい顔で抑えていく。重圧のかかる名門チームであれだけ長い期間、黙々と務め上げている。

 いつも冷静で練習熱心。手元でボールを動かし自滅もない。ラズナーの適性を見抜いていた。「他に人もいないし、当面はラズナーでいく。やっと“オセロ”から解放されたな」。新守護神で6月11日以来の連勝。後ろが固まれば白星街道も十分ある。【宮下敬至】