<広島2-5中日>◇3日◇マツダスタジアム

 男の約束を果たした。中日岩瀬仁紀投手(36)がプロ野球史上初の300セーブを達成した。広島戦(マツダスタジアム)で3点リードの最終回を3者凡退でピシャリ。ストッパーとして起用し続けた落合監督も祝福した。2カ月ぶりの貯金2で、今季50勝目。単独2位に浮上した。

 控えめな守護神にとっては珍しい光景だった。9回2死。石原の打球が左翼手のグラブにボールが収まった瞬間、岩瀬は本塁へクルリと振り返った。満面の笑みを浮かべて派手にガッツポーズ。そして恥ずかしそうに舌をペロッ。歩み寄った谷繁から肩をモミモミされると、またうれしそうに笑った。

 岩瀬

 この前、失点してしまったんで今日はしっかり決めようと思った。正直、ホッとした感じ。日本の記録としては初めて。1番、最初になれたということはうれしい。

 ただの区切りではない。300セーブは落合監督との約束でもあった。岩瀬のストッパーとしての才能を見いだして起用してきた指揮官は、いつもこう語りかけてきた。「誰もいないところに行け。200台はいるだろ?

 だから300台にいけ」。求めたのは前人未到の領域。約束が果たされる瞬間を見届けた落合監督は冗舌だった。

 落合監督

 日本の野球界で初めて300にいったということに価値がある。新記録を作ったということよりもそっちの方が価値がある。これからあいつを抜くやつが出てくるかどうかだ。

 ただ、ここでシーズンが終わるわけではない。それは岩瀬本人が一番分かっていた。孤高のストッパーはいつもの口調で続けた。「目指すところは優勝です。(個人的には)特別なにもない。すみません。僕はそういう人間なので…」。まれに見るだんごレース。負けられない試合が続く。竜の守護神はすぐに表情を引き締めた。【桝井聡】

 ▼岩瀬が広島16回戦(マツダスタジアム)で今季24セーブ目を挙げ、プロ野球初の通算300セーブを達成した。初セーブは99年6月23日の巨人13回戦(ナゴヤドーム)で、今年6月16日のソフトバンク4回戦(ナゴヤドーム)で高津(ヤクルト)を抜く歴代最多の通算287セーブをマークした。岩瀬は通算730試合に登板しているが、先発は1試合だけで、リリーフが729試合。鹿取(西武)が持つ739試合のリリーフ最多登板記録へあと10試合に迫った。メジャーとの合算では佐々木381セーブ(日本252+米国129)、高津313セーブ(日本286+米国27)の2人がいる。メジャー最多は昨年引退したホフマンの601セーブで300セーブ以上は23人。