ハヤタに強力援軍!

 2月の沖縄・宜野座1軍キャンプスタートが決定的な阪神ドラフト1位伊藤隼太外野手(22=慶大)の恩師、慶大・江藤省三監督(69)がキャンプを訪問することが19日、分かった。名門校の監督がキャンプを訪問するのは異例。頼もしい恩師のエールが、キャンプを乗り切り、開幕1軍へはずみをつけることになりそうだ。

 南国の太陽に照らされてバットを振るドラ1ルーキーに、恩師の熱視線が注がれる。慶大・江藤監督が2月序盤に宜野座キャンプを“授業参観”することが分かった。名門校の監督だけに、キャンプ地で教え子を激励するのは例がない。伊藤隼にとって、強力な援軍となりそうだ。

 江藤監督は66年から76年まで巨人、中日に在籍。プロ野球のキャンプを知り尽くしている。プロの“先輩”としてキャンプを完走する秘訣(ひけつ)を助言するつもりだ。

 江藤監督

 ケガをしないことですね。コンディションを整えれば、ついて行けます。キャンプを乗り切るのが一番大事。内容うんぬんよりも、キャンプを乗り切ったら技術がついてくる。乗り切った人が勝ちますから、そういうことをアドバイスしたいですね。

 伊藤隼は練習の虫だ。新人合同自主トレが休日だったこの日も、午前9時過ぎから約40分間のランニングと約1時間の打撃練習に励んだ。入寮した6日夜からバットを振るなど、無休で練習。そのままキャンプインすることも宣言している。

 キャンプでは城島、鳥谷ら主力選手も実践するアーリーワーク(早朝練習)で肉体をいじめ抜くつもりだ。慶大では3年春からアーリーワークを実践している。練習前の午前9時ごろからのウエートトレーニングが日課だった。きっかけは江藤監督の「メジャーの選手は練習前にトレーニングをするんだぞ」という助言。主将だった伊藤隼の背中を見て、慶大野球部にアーリーワークが浸透したという。プロでもそのスタンスを貫いていくつもりだ。

 伊藤隼

 キャンプがどういう流れになるかわからないし、体の状態と相談しながら。やってみないとわからないですけど。(アーリーワークの)成果は間違いなく出た。キャンプでも朝にできるならやりたい。人がやっていない時にやることを大切にやりたい。

 江藤監督は「練習を休むのが嫌いですから。ブレーキをかけてあげないと」と飛ばしすぎを心配する。ドラ1ルーキーは恩師の直撃を糧に、開幕1軍へ着実に歩を進めていく。【岡本亜貴子】

 ◆江藤省三(えとう・しょうぞう)1942年(昭17)4月29日生まれ。中京商(現中京大中京)-慶大から65年ドラフト3位で巨人入団。69年に中日に移籍し、76年引退。プロ生活11年で12本塁打、通算2割6分7厘。引退後は巨人、ロッテ、横浜でコーチを歴任。09年12月、慶大初のプロ出身監督に就任。10年春、11年春優勝に導いた。名球会入りした江藤慎一の実弟。現役時代は172センチ、70キロ。右投げ右打ち。