広島前田健太投手(23)が25日、レンジャーズに移籍したダルビッシュ有投手(25)への思いを語り、次代の球界のエースになることを誓った。この日、沖縄入りし先乗り合同自主トレに参加。ダルビッシュとの会話、投球に刺激を受け「あの域まで行きたい」と語った。日本球界の大きな穴を埋める決意を胸に、マエケンがパワーアップする。

 「目標の人」がどこまでやるのだろう。前田健は、同じ投手として、ダルビッシュの躍動する姿を思い浮かべ心を躍らせた。

 「メジャーで活躍してほしいです。日本一の投手なので、メジャーでどういう投球をするか楽しみ。日本の評価が低くなっているので、ダルビッシュさんが活躍したらうれしい」

 大きな刺激を与えてくれた貴重な存在だった。沢村賞を獲得した10年シーズンの5月15日。最初で最後となった、ダルビッシュとの「直接対決」が実現した。前田健は9回6安打で完封勝利を挙げた。だが、勝負を超えた経験となった。自身が打席に立つと、あえて全球種を投げ込まれた。将来を見込まれているからこそだ。

 「一緒に投げ合えたことが財産です。あの試合があったから、話せるようになった。あの人と話すと、いろいろ勉強になる。未熟さが分かるし、まだまだ狭い世界でやっているんだなと考えさせられる。話したり、投球を見ると、自分はしょぼいんだなと気付かされた」

 前半戦で2桁勝利を挙げ、無敵状態にありながらでもレベルの違いを痛感していた。そして、今でも「理想」を追いかける。

 「あの域に行きたい」

 ダルビッシュがメジャーで活躍したWBCのマウンドにも立ってみたい。世界の舞台で、日本の評価を自分の右腕で覆したい思いもある。

 「出られたらうれしいし、出たい気持ちがある。日の丸を背負いたい。各チームのすごい選手も集まるので。去年は悪かったので、選ばれるためにも、今年はやらないといけない」

 昨季は前半戦に出遅れ、10勝12敗と借金を抱えたままシーズンを終えた。悔しさを糧に、今オフから本格的にウエートトレーニングを取り入れるなど、充実した時間を過ごした。「もう無理」「打てない」。ダルビッシュがそうだったように、そんな声が聞こえてくるような大エースになる。【鎌田真一郎】