阪神秋山拓巳投手(20)が新投法&新球で開幕ローテ入りへ前進した。第2クール初日の7日、フリー打撃に登板した秋山は中谷、俊介、田上に対して61球を投げて、ヒット・エリアに飛ばされたのはわずか5本。昨秋から取り組んできた左足をゆったりと上げる新フォームに手ごたえだ。

 「ヒット何本ですか?」。練習を終えた秋山は報道陣に逆取材した。数本あったと知らされると、それに反発するかのようにこう言った。「でも、全部、詰まってましたよね」。あふれ出る自信を隠そうとしなかった。それほど、充実の内容だった。

 左足を上げて、ゆったりと間をとって投げる新フォームが目を引いた。投げ急ぎを防止するために、昨秋から取り組んできたが、間が取れるようになってボールの威力が増したという。

 「ファウルも取れたし、ボール球も悪くない。2段(モーション)っぽいと言われるかもしれませんが、この形でやっていきます」

 この日から宜野座球場にやってきた審判団のチェックを受けて問題がなければ、2012年版・秋山の投球フォームはでき上がる。さらにこの日は新球チェンジアップを2球、試す余裕も見せた。脱皮しつつある右腕の姿に、山口投手コーチも期待を込めた。

 「(新フォームは)ステップまでの間がある。体の使い方がわかってきたな。球種も増えれば投球の幅が広がるだろう」

 シンデレラボーイとなった1年目、苦悩の2年目を経て、3年目右腕が真の自信を手にした。第5、第6の先発枠争いの中心になることは間違いなさそうだ。【鈴木忠平】