<オープン戦:日本ハム3-3ヤクルト>◇4日◇札幌ドーム

 「悪童」だったはずの男が、ベンチに戻るとペンを取り出した。近藤通訳に聞きながら、熱心に対戦した投手の特徴をノートに書き込む。球種、コース、打った球…。日本野球に順応しようと、この試合から「ミレッジノート」が誕生した。

 ヤクルトの新外国人ラスティングス・ミレッジ外野手(26=ホワイトソックス傘下3Aシャーロット)が、来日初本塁打を放った。4回無死、日本ハムのクローザー武田久のスライダーを、逆方向にライナーではじき返し、広い札幌ドームの右翼席にたたき込んだ。「自分のスイングができた。ボールが伸びて入ってくれた」とニヤリ。ノートを手にしたのはその直後。小川監督は「逆方向なのに、引っ張ったような打球だった」と驚いていた。

 大リーグ通算33本塁打を誇るが、ホームランバッターではなく、スピードある好打者タイプ。来日前は放送禁止用語のCDを発売した私生活が話題だったが、野球に取り組む姿勢は真面目そのもの。1回は初対戦の武田勝から左前打を放つなど、実戦8試合で5割3分8厘をマークする。

 「1打席1打席がチャレンジ。Every

 Day

 Learning(毎日勉強)」と言う。札幌移動日だった2日、練習前に1人で一塁から二塁まで全力疾走タイムを計った。捕手の二塁送球時間と照らし合わせ、確認作業を繰り返す。「持っているものをすべて見せたらシーズンに入ってマークされる」と不敵に言った。まだ何を隠しているのか。謎が多い分、期待感は高まっている。【前田祐輔】