<オープン戦:阪神4-2日本ハム>◇10日◇甲子園

 みなさ~ん、キャプテン鳥谷はやりますよ~!

 12年のマンモス1号は野手キャプテンに就任した鳥谷敬内野手(30)だった。精密機械、武田勝のスライダーを鋭くジャストミート。甲子園右翼ポール際にお釣りなしの最短コースで運んだ。直前の大和の二盗を褒めつつ、得点につなげた主将の心意気。決意表明の代わりに、アーチをかけた。

 まだ肌寒い甲子園に、シーズン中に近い熱気と盛り上がりが戻った。鳥谷が「カンッ」と快音を響かせた瞬間だ。一塁へ向かう手前で走るスピードを緩める。フォローの風にも乗り、ライナー性の飛球が右翼ポール際に吸い込まれた。記念すべき12年甲子園の第1号。聖地の「開幕戦」に駆けつけた1万1717人が、野手キャプテンのあいさつ代わりにうっとり酔いしれた。

 鳥谷

 風ですよ、風。風が吹いてたんで、行ったとは思いましたけど。

 冷静に振り返ったのは5回2死一塁。けん制3球から1ストライクを挟んでの2球目、ボール球で一塁走者大和が二盗に成功した。2死二塁となり、武田勝の制球が乱れる。3ボール1ストライクからの内角低めスライダーを芯で捉え、キャプテンらしく後輩を褒めたたえた。

 鳥谷

 早いカウントで走ってもらえると、バッターは楽。自分がランナーの時もできるようにしたい。

 キャンプから実戦10試合目での初アーチ。フェンスオーバーについては、特にこだわりはなさそうだ。09年は20発、10年は19発、飛ばない統一球が導入された昨季は5本塁打だった。オフのイベント中にこう振り返ったことがある。

 「長打は完全に捨てました。外野の頭を越すというよりは、間を抜こうというふうに、切り替えました」。自分の持ち味をあらためて認識していた。この日の1発も「外野を抜く」という意識の延長上だろう。

 ここまで実戦は24打数3安打、打率1割2分5厘だったが、何も心配はいらない。自身の調子のバロメーターは「球の見極め」。じっくりボールをチェックし続け、3・30開幕戦に合わせてくるはずだ。

 アウトにこそなったが、1回には左翼、3回には右翼へ鋭い当たりを飛ばした。「タイミングは取れていると思います」。キャプテンシーを胸に、和田阪神のキーマンが、エンジンをふかし始める。【佐井陽介】