<ウエスタン・リーグ:中日0-3阪神>◇20日◇ナゴヤ

 白仁田、開幕星!

 こんな見出しが1軍で躍る日を待っている。20日、ウエスタン・リーグが開幕。阪神はナゴヤ球場で開幕戦を迎え、先発白仁田寛和投手(26)の快投、森田一成内野手(22)の先制打などで見事にライバル中日を下した。若虎を応援する鳴尾浜支局本格稼働の初日、最大のヒーローとなった白仁田クン、これからもビシバシいこうぜ!

 145キロ直球に中日高橋周のバットが空を切った。1回、直球で1ボール2ストライクと追い込み、この日の最速のボールで注目のドラフト1位を封じた。4回も144キロ直球で高橋周から2打席連続の空振り三振。ウエスタン・リーグ開幕投手を務めた白仁田が、スコアボードに6つの0を並べた。

 白仁田

 真っすぐで押していこうと思っていた。(高橋周は)注目されているのを知っていた。テンポを意識して、速めていこうと思った。

 こんな白仁田を見たことがない。走者を背負っても、落ち着いていた。ピンチは5回。1死一、二塁で8番吉田を二ゴロに打ち取ったが、併殺が決まらない。なお2死一、三塁で代打野本。1軍経験豊富な打者を2球で追い込むと、最後は138キロで遊ゴロに仕留めた。

 白仁田

 一番いいぐらい。間違いないです。

 少しはにかみながら、入団以来最高と認めた投球に、中西2軍投手コーチも高評価を与えた。「オレもそう思う。見逃しが多くてコースにきっちり来ていた」。6回71球の省エネ投球で3安打5奪三振。潜在能力を存分に見せつけた。

 今オフは2年連続で、JR九州でオリックス小松らと合同自主トレ。「体の開きが早かったりしたら指摘してもらって、悪いところをどんどん言ってもらった」と08年新人王のエキスを吸収。3年ぶりの沖縄・宜野座1軍キャンプを完走。故障の不安なく迎える5年目に確かな手応えを感じている。

 この日、開幕ローテーション入り確実の久保がインフルエンザと診断された。虎視眈々(たんたん)と1軍昇格を狙う白仁田にとっては、チャンスと言える。自らに言い聞かせるように繰り返した。

 白仁田

 アピールはずっとしていかないといけない。結果を出さないと。

 07年ドラ1右腕がファーム開幕星から勢いに乗り、1軍マウンドで輝きを放つ。【岡本亜貴子】<白仁田寛和(しらにた

 かずひろ):プロフィール>

 ◆生まれ

 1985年(昭60)10月2日、福岡県志摩町生まれ。26歳。

 ◆球歴

 可也小4年のとき野球を始め、小学時代は捕手。志摩中2年のとき投手に転向。糸島高では3年のとき福岡大会5回戦敗退も、3試合連続2桁三振を奪い注目された。福岡大では九州6大学リーグでMVP1回、ベストナイン2回。通算20勝8敗、防御率1・81。07年ドラフトでは大場翔太(ソフトバンク)の外れ1位として阪神から大学・社会人1巡目指名された。

 ◆プロ入り3年間

 先発ローテーション入りを期待されたが、大学4年の春に痛めた右肩が完治せずリハビリの日々を送った。1軍での登板はなく、2軍での3年間の成績は20試合2勝6敗、防御率5・71。

 ◆プロ初登板

 4年目のシーズン終盤の11年10月23日の広島戦(マツダ)で7回裏から3番手として救援登板。初球でいきなり147キロをマーク。球威のある直球を武器に1回を無失点で切り抜けた。

 ◆シノマリと同期生

 AKB48の篠田麻里子とは福岡・糸島高で同期生。昨年センターを獲得してスターになったアイドルについて「まさかこんなふうになるとは」と驚いたが、今季は虎のエースに君臨してシノマリを驚かせるつもりだ。

 ◆サイズ

 189センチ、83キロ。右投げ右打ち。