<オープン戦:ロッテ1-3日本ハム>◇24日◇QVCマリン

 左腕エースは、開幕へ心技体万全。日本ハム武田勝投手(33)が先発し、5回4安打1失点と好投した。開幕2戦目の31日西武戦(札幌ドーム)での登板が正式に決まり、オープン戦最後の登板も安定感ある投球で締めくくった。開幕投手を務めることが決まった斎藤佑樹(23)を気遣うなど、マウンドを下りても頼れる存在。投手陣リーダーとしての自覚を持ってシーズンへ臨む。

 いつもと同じポーカーフェースで、最後の仕上げを終えた。武田勝は前回18日ヤクルト戦(神宮)同様、小雨交じりの悪天候の中でも落ち着いていた。「集中を切らさず、自分なりの投球ができた」と持ち味を見せた。2回に1点を失ったが、持ち前の粘りの投球を披露。3、5回には得点圏に走者を背負ったが、慌てず後続を断った。変化球は低め、真っすぐは大胆に。吉井投手コーチから常に言われる指示を忠実に守り、シーズンへ向けた調整を終えた。

 18日、栗山監督から2戦目での先発を、開幕投手でないことの謝罪とともに告げられた。実績に加え、オープン戦も5試合に投げ防御率2・57と安定していた。昨年の契約更改の時から開幕投手を目標として公言したこともあるが、大役が斎藤に決まっても、「自分にとっては開幕」と冷静に受け止めた。正式発表から一夜明けた20日には、報道陣に協力も求めた。「僕らもできるだけいい環境を作って(斎藤を)開幕戦へ送り出してあげたいので、皆さんも協力してくださいね」と、後輩がプレッシャーから解放されるよう、先輩として見せた配慮だった。

 絶対的エースのダルビッシュが抜け、意識が変わった。1月の自主トレ、2月の沖縄・名護キャンプでは、徹底的に肉体を追い込んだ。「チームも変わろうとしている。投手陣を引っぱっていけるようにしたい」。投手陣のリーダーとしての自覚が芽生えた。嫌いな走り込みや体幹トレーニング中心のメニューにも積極的に取り組んできた。

 チーム戦略もあり、開幕投手の座を奪う形となった栗山監督も「その日の状態を考えながら、修正して試合をまとめる能力はさすが」と絶大の信頼を寄せる。この日、5回の降板時には握手を求め「開幕してから頼むぞ」と声を掛けた。左腕エースも「開幕に向けていい調整ができた」と充実感をのぞかせた。【木下大輔】