<オープン戦:広島2-4ソフトバンク>◇25日◇マツダスタジアム

 おかわりで締めた!

 ソフトバンク松田宣浩内野手(28)が最後のオープン戦で2打席連続本塁打を放った。6回に待望の1号同点ソロを放ち、8回に決勝2ラン。初回の内野安打と合わせて猛打賞で、打率を3割8厘まで上げた。昨年のチーム本塁打王は最高の形で準備期間を終え、連続日本一をかけたシーズン開幕を待つ。

 広島のニック、中東と2人の左翼手はともに動く必要がなかった。放物線ではなく、ライナーに近い松田特有の軌道が、鷹党で埋まった客席に吸い込まれた。この日ばかりは敵地を“松田スタジアム”と呼んでいいはずだ。

 「キャンプ、オープン戦で初めての長打。センターから左に出てなかったので。素直にうれしい。出るか出ないかでは、出る方がいい。うまくとらえられました」

 実はここまで二塁打2本を打っていても、認識は“単打”だった。いずれも直球を左翼席へ飛ばし、長打の感触を取り戻した。先頭打者だった6回はバリントンのど真ん中をつかまえ、オープン戦1号。同点の8回は犠打で1死二塁とした直後。内角球に「肘をうまく使えた」と両腕をたたんで反応した。開幕前の最終打席で勝ち越し2ランと勝負強さを発揮した。

 ベンチ前のハイタッチで下がった目尻も試合後は消え、喜びは控えめだ。「特に打撃を変えたところはありません」。帰りのタクシーに同乗した内川は「今日はミラールームでずっとスイングをしていた」と証言し、本多も「さすが開幕に合わせてきますねぇ」とはやし立て、車内は大いに盛り上がった。

 昨年は打率2割8分2厘、25本塁打、83打点、27盗塁といずれも自己最高を記録した。統一球をものともしない、リーグ2位の25発は出色だった。自信を深めた一方、オフは「今年も打てるかなんてどこにも保証はない」と不安も同居した。それを自らのバットでぬぐった。おかわり上手で48本塁打した西武中村を追いかける立場は変わらない。オープン戦ラストの広島3連戦で10打数6安打と固め打ち、心身両面で好仕上がりを印象づけた。

 この日は内川の代役3番だが、ここまでは主に5番。4番が固まらない状況だけに、12年型オーダーで松田の存在感は大きくなる。秋山監督も「ホームランバッターは1本出るとポンポンいくね。ポイントが決まってくるんだろうな。しっかり押し込んでいる」と安心した。

 さあオープン戦は終わった。連続日本一をかけた長い戦いが始まる。昨季、松田がアーチをかけた試合はCSを含めて21勝2敗3分けだった。おかわりの感触を胸に、勝利を呼ぶ男が開幕を待つ。【押谷謙爾】