<楽天3-5ロッテ>◇30日◇Kスタ宮城
ロッテの成瀬善久投手(26)がマー君に投げ勝ち、三度目の正直で開幕戦勝利をつかんだ。4回から3イニング連続で得点圏に走者を許したが、キレのある直球で危機を切り抜けた。楽天田中が6回5失点で崩れたのを尻目に、6回2/3まで7安打7奪三振で1失点の好投。チームの開幕連敗を6で止め、8年ぶりの開幕戦勝利をエースが手繰り寄せた。
1つ1つの所作に成瀬のエースたる風格が漂った。6回、失策と安打で無死一、二塁。だが表情は一切、変わらない。集中力を研ぎ澄ます。二飛、空振り三振で、あと1死までこぎつける。最後はテレーロを内角高めの直球で、この試合7個目の奪三振。うち4個は得点圏に走者を置いた場面だった。この試合最大の危機を乗り切り、グラブをポーンとたたいた。
100球を超えた7回途中に1失点し、降板した。だがチームが昨季5敗を喫した天敵田中から5得点を奪い、マウンドから引きずり降ろすまでは1点も奪われなかった。「去年もマー君にやられていたので、今年のロッテは違うというのを見せたかった」と意地の思いを口にした。
3年連続の大役。チームで3年連続で任されたのは99~01年の黒木以来だ。だが過去1度も勝てなかった。重圧は想像以上だった。「1年目は友達からのメールも返信できず、テレビも何を見ていたか覚えていない。それほど緊張していた」。今年は始動時から「開幕投手をやるつもりでいる」と呪文のように唱え続けた。前日29日は「いい緊張感で過ごせました」と心身ともに準備を整えた。
吉報を恩師に届けたかった。前日29日に母校横浜高の渡辺監督が甲子園春夏通算50勝を達成。「改めてすごいことだなと思う。僕が明日の試合で勝って後祝いできれば」。渡辺監督からの教えは、今年は文字に表した。帽子のツバの裏に書いた「信念」の2文字。高校時代に渡辺監督から言われ続けた言葉だ。
「自分を信じてやり抜くということ。それを今年は大事にしたい」。成瀬の投球には強い信念が表れていた。自身3度目の挑戦での開幕戦勝利、そしてチーム8年ぶりの開幕戦勝利を自らの左腕でつかむこと-。「純粋にうれしいです」。大仕事を果たし、喜びをかみしめた。【広重竜太郎】



