<日本ハム0-2ソフトバンク>◇3日◇札幌ドーム

 キングに立つ2発だ。ソフトバンクのウィリー・モー・ペーニャ外野手(30)が今季初の1試合2発で首位日本ハムを粉砕した。2回に5号ソロ、8回にも6号ソロ。全得点を挙げ、3打数3安打2打点の猛打賞もマークした。ここ4試合連続で三振ゼロ。確実性を高めてきた大砲が3連勝を呼び込み、首位に0・5ゲーム差とした。

 赤のトランクス一丁になっても、両人さし指を体の前で突き出すポーズを繰り返した。笑いの渦の中心はもちろん、ペーニャだ。ハイタッチとかけ声で熱気を帯びたベンチ裏で、少々のはめ外しは大目に見ていいだろう。「ホームランでチームに貢献できて良かったよ。狙ってないけど、普通のヒットでもツーベースでも貢献できればいいさ」。ソロ2発で3連勝の立役者が威勢のいい声で笑った。

 2本とも外野手は“仕事放棄”した。2回はウルフの外角直球を仕留めた。中堅・陽岱鋼は打球を追うのをやめ、着弾点を見届けた。高速中前打と敬遠四球を挟み、8回2死では宮西の内角へ甘く入った直球をドーム最深部、左中間スタンドへ放り込んだ。4万人と左翼・中田の口が開いていた。

 「飛距離は関係ない。打ったら全力で走ることを考えたよ」

 そうは言うものの、現在、日本球界で飛距離トップは間違いない。トス打撃で内角への球出しを要請されている水田打撃投手は「むちゃくちゃ怖いですよ。音がフリー打撃より大きい」と、けた外れのスイングスピードを至近距離で体感する1人。防球ネットの鉄枠を直撃しはね返るボールにも身の危険を感じる。

 来日初の1試合2発でリーグ最多の6本塁打。猛打賞で打率を3割6厘まで押し戻した。内角攻めが増える中で数字を伸ばした理由を、自らこう分析する。

 「相手捕手がどういう配球をしてくるか対戦が1回りしてイメージがつかめてきた」

 オープン戦50打席で20三振の“三振率”4割だったが、ここ4試合は三振ゼロ。日本野球への適応を見せ始め、藤井打撃コーチは「内角に厳しい球にも我慢している」とにんまり。秋山監督も「ホームランバッターの典型だな。ツボが定まれば続けて打つんだよ」と余裕の笑みを浮かべた。

 主砲の独り舞台で、日本ハムに0・5ゲーム差とし、今日4日にも首位に返り咲く。まるで歌舞伎の拍子木のように乾いた、独特の打撃音で北の大地の4万人を黙らせた。それは、これから始まる量産態勢を告げる、柝(き)の音=合図に聞こえた。【押谷謙爾】