<ヤクルト0-1日本ハム>◇30日◇神宮

 日本ハム中田翔内野手(23)がレーザービームで魅せた。30日ヤクルト戦の6回2死二塁、相川の左前打で同点のホームを狙った野口を、左翼からワンバウンドのストライク返球で刺し、ピンチを救った。打っては先頭打者で迎えた2回に左前打で出塁し、虎の子の1点を演出。吉川にハーラー単独トップの6勝目をプレゼントし、復帰戦となった金子誠の先制打もフイにはしなかった。

 打つだけじゃない-。鮮やかなレーザービームだった。中田の6回の守備だ。1点リードで迎えた2死二塁。左前打で二塁走者のヤクルト野口は、一気にホームを狙ったが…。滑り込む前に、左翼を守る中田の返球がワンバウンドで捕手・鶴岡のミットに収まった。「ランナーの足が速いので、投げるまで確信はなかった。いや~(アウトになって)うれしかったね」と中田。三塁手の小谷野が「150キロくらい出ていた。あれ以上ない送球だった」と、中継プレーに入るそぶりを見せなかった完璧なプレー。同点を阻止した好守備に、ベンチは大盛り上がりで背番号6を迎えた。

 攻撃では先頭の2回、追い込まれてからの変化球をうまく拾って左前へ。「まだまだだけど、しっかりバットが振れているし、ボールも見えている」。20打席連続無安打の不振を脱した28日巨人戦から3打席連続安打となり、この試合、唯一のホームを踏んだ。

 守備の印象は少ないが、実は昨年もリーグトップの11補殺を記録している。大阪桐蔭高時代に150キロ右腕ともてはやされた鉄砲肩は、いまだ健在。外野で糸井、陽岱鋼とともに強肩トリオを形成しており、返球のコントロールは他の2人よりも優れている。

 この日、3打数1安打も、4番打者としての自信を取り戻しつつある。「いい守備があると、そのまま乗った状態で打席に入れるからいい」。今は、納得のいくスイングが出来ている。「(打撃不振の)ストレスがたまっているからね。ここからは、上がっていくだけ」。これまでの鬱憤(うっぷん)を晴らすように、守って、打って、チームを2連勝に導いた中田。覚醒の日は、近い。【中島宙恵】