<DeNA6-2楽天>◇10日◇横浜

 “天のお告げ打線”が爆発した。DeNAは1点を追う8回。楽天の先発釜田が降板すると、打線がつながった。1死一、二塁から金城の左前打で同点に追いつくと、藤田、鶴岡、荒波の適時打で一挙5得点の逆転劇。中畑清監督(58)は「いい試合を出来るようになってきた。あきらめない気持ちが少しずつ定着してきているかな」と、満足そうに振り返った。

 雨天ノーゲームとなった前日9日の日本ハム戦前、中畑監督は筒香の5番昇格を決めた。不振が続き、8日の同戦では攻守に精彩を欠き、試合後に同監督は「守備で足を引っ張ると使えなくなる」と先発落ちも示唆していた。

 これまで、梶谷ら期待の若手が極度の不振に陥れば2軍落ちを通達。自らの力ではい上がることを求めてきた。しかし、今回はあえて6番から打順を上げた。その理由について、中畑監督は「もっとあいつを苦しめろって天のお告げがあったんだよ」と冗談めかして説明した。だが、実際には大きな葛藤の末に下した決断だった。

 高木ヘッドコーチが代弁する。「筒香に責任感を持たせた時にどうなるか。(先発から)落として奮起するヤツもいるし、より責任を与えて奮起するヤツもいる。今回は後者にかけてみることにしたということ」。先発から外すより、筒香に厳しい道を選んだ。

 その思いに筒香もしっかり応えた。2安打を放ち、8回も逆転劇につなぐ四球を選んで出塁。中畑監督は「結果を出してくれたのはうれしかったね」と目を細めた。これで連敗は3でストップ。「今日は神のお告げがうまくはまったかな。神様ありがとうございます」。天に感謝しながらも、その顔には手応えがにじんでいた。【佐竹実】