<阪神1-2ソフトバンク>◇10日◇甲子園

 スカッと勝ってほしかった。マット・マートン外野手(30)の問題発言に揺れた阪神が、ソフトバンクに8回まで1安打に封じられる貧打で競り負けた。9日オリックス戦後にマートンは「能見サンが嫌い」などと発言。球団も試合前、誤解を招く発言として口頭で注意した。打撃不振もあって先発落ちしたマートンが心配やなあ。早く本来の姿に戻ってくれ~。

 マートンショックから一夜明け、和田阪神は暗いムードを引きずったまま、交流戦勝ち越しの可能性が消えた。8回までたった1安打で、12三振。今季初先発の大場に、簡単にひねられた。和田監督は「基本だが、ボール球に手を出しすぎる。我慢すれば、崩れるところが、相手を助けてしまっている」と嘆いた。今季ワーストタイの借金3。そして、この日の先発メンバーに本来あるべき名前はなかった。

 マートンが今季初出場となった4月4日ヤクルト戦以来、初のスタメン落ちとなった。前日には、思いも寄らぬ騒動を起こしていた。拙守を問われ、「I

 don’t

 like

 Nohmi-san.

 ニルイドウゾ。Go

 ahead.」と吐き捨てるように言った。「能見サンが嫌いだから、二塁走者をかえした-」と取られかねない前代未聞の問題発言だった。

 球団はこの日、国際スカウト担当の三宅部長を通じ、マートンに「誤解を招くような発言は慎むように」と口頭で注意した。本人も「申し訳ない。すみません」と謝罪したという。南球団社長は「球団としては、それ以上の措置はない。しばらく、そっとしてあげてほしい。イライラが募っているようだ」と処分しない方針を明かした。

 和田監督も試合前に本人と話し合いの場を持った。「原因はひとつではない。いろいろなモノを抱えながら、野球をしている。吹っ切ってもらわないと、元のマートンには戻ってこないと思う」。会談に時間を要したのか、試合前練習の予定時間を1時間過ぎてから、マートンはグラウンドに姿を現した。「オハヨウゴザイマス」と報道陣に声をかけ、フリー打撃と走塁練習をこなした。

 先発メンバーから外れたのは、総合的な判断によるものと見られる。打撃不振や拙守、集中力の欠如。前夜の騒動で落ち着かない状況でもあった。和田監督は「チームの中心、核になってもらわないといけない。状態を上げてもらうことを考えているが、集中力を欠くところがある。1度、景色を変えようというところ。どうやって上げるかの措置だ」と説明した。騒動の沈静化を図り、状態を見て、先発復帰を検討することになる。

 マートンは8回裏に代打で出場し、三ゴロに倒れた。「ごめんなさい。今日はナイですね」と多くを語らず、ロッカールームに向かった。いつ完全復活の姿を見せてくれるのか。打席に向かう時には、ファンの大きな歓声があった。まだ誰もマートンに失望していない。そのバットで、停滞感に満ちたチームの雰囲気を払拭(ふっしょく)してほしい。【田口真一郎】

 ◆マートンの暴言

 9日オリックス戦に完敗。試合後、報道陣に4回の緩慢な守備と悪送球で本塁生還を許した場面を問われ「I

 don’t

 like

 Nohmi-san.

 ニルイドウゾ。Go

 ahead」などと発言した。本意ではないにせよ「能見サンが嫌いだから、二塁走者をかえした-」と取られかねないコメント。続けて「送球が遅れてしまった。自分のミス。しっかりライン上に投げてアウトにできたと思う」と反省の言葉を並べた。