元広島監督の山本浩二氏(65)の監督就任が内定しているワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表スタッフに、元中日の立浪和義氏(43)の入閣が有力になっていることが2日、分かった。立浪氏は現役時代に兼任打撃コーチを務めた経験があり、現場に近い若さから、ベテラン監督と選手とのパイプ役も期待される。また元西武監督の東尾修氏(62)、09年の第2回大会でも守備走塁コーチを務めた高代延博氏(58)の入閣も確実。「浩二ジャパン」は早急に陣容を固め、ペナントレース終了後の10日に発表する予定だ。

 山本氏の監督就任が内定してから、日本野球機構(NPB)は同氏の意向を受けながらコーチ人事を進めてきた。この日までに立浪氏、東尾氏、高代氏が入閣する見込みとなった。今後3氏と本格的な交渉を進めるとともに、残りの人選も急ぎ、ペナントレース終了後の10日に全陣容を発表する予定だ。

 立浪氏は43歳の若さで侍ジャパンの打撃部門を任されそうだ。専任コーチの経験はないが、現役時代に2年間、兼任コーチを務めていた。評論家に転身後も球場を訪れた際には、さまざまな球団のコーチから若手選手の打撃指導を依頼されるなど、打撃論や指導は球界内で一目置かれている。ベテラン監督と選手のパイプ役としても期待される。

 若手の登用は重要なポイントといえる。NPBは侍ジャパン事業を継続していく考えで、次世代を担う指導者を育成する必要がある。若い立浪氏に国際大会を経験してもらい、今後の侍ジャパンに生かしたい考えが見える。山本氏と北京五輪を戦った楽天星野監督も、前日1日に若手コーチの登用を勧める考えを示していた。

 東尾氏は投手部門担当で、ヘッド格として監督を支える役割も求められそうだ。西武監督で2度のリーグ優勝に導いた実績を持ち、山本氏との信頼関係も厚いことから白羽の矢が立った。また、高代氏は内野守備と走塁部門の担当になる。09年の第2回大会で守備走塁コーチを務めた経験を持ち、今季途中までオリックスでヘッドコーチを務めた。実戦から遠ざかっておらず、選手起用や作戦面などで貢献が期待される。

 コーチ人事だけでなく、11月に行うキューバとの強化試合に向けて選手選考も進めている。すでに各球団から提出された候補選手の中からNPBが人選し、前日1日の実行委員会で各球団に伝えた。一両日中に選手本人の意思を確認する流れで、このメンバーも近日中に発表される見込みだ。

 ペナントレース中のため山本氏の監督就任発表も控えている状況だが、監督選考が難航しただけに準備期間は短い。水面下とはいえ、「浩二ジャパン」は着々と動いている。

 ◆立浪和義(たつなみ・かずよし)1969年(昭44)8月19日、大阪府生まれ。87年にPL学園主将で春夏甲子園を連覇し、同年ドラフト1位で中日入団。1年目から新人王に輝く活躍で88年のリーグ優勝に貢献。03年2000安打を達成し名球会入り。09年に引退し通算2480安打は歴代7位、487二塁打は同1位。ベストナインを2度、ゴールデングラブ賞を5度獲得。

 ◆東尾修(ひがしお・おさむ)1950年(昭25)5月18日、和歌山県生まれ。箕島高で甲子園に出場し、68年ドラフト1位で西鉄(現西武)入団。88年の引退までエースとして活躍し通算251勝247敗23セーブ。MVP2度、最多勝2度、最優秀防御率を1度獲得。95年に西武監督に就任し97、98年とリーグ連覇した。長女の理子はプロゴルファーで、夫はタレント石田純一。

 ◆高代延博(たかしろ・のぶひろ)1954年(昭29)5月27日、奈良県生まれ。智弁学園-法大-東芝を経て78年ドラフト1位で日本ハム入団。1年目の79年に遊撃手でゴールデングラブ賞、80年ベストナイン。89年広島で引退し90年から広島、中日、日本ハム、ロッテ、中日、韓国ハンファでコーチを歴任。昨季から今年9月解任されるまでオリックスのヘッドコーチを務めた。