来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表として参加を要請していた黒田博樹投手(37=ヤンキースFA)が辞退することが17日、決定的になった。先発ローテーションの軸に期待していた同投手とダルビッシュらの不参加で、先発陣の再編が必須な状況に迫られた。当初ストッパー候補に挙がっていた田中将大投手(24=楽天)をエース格として起用する方針に転換。「メード・イン・ジャパン」の布陣で、大会3連覇を目指す。

 WBC3連覇を狙う浩二ジャパンが、戦略の練り直しを強いられることになった。この日、黒田の辞退が決定的であることが判明した。ダルビッシュと岩隈に続き、先発候補の1人だった右腕まで、青写真から消えた。山本監督はかねて「今年あれだけ頑張って投げたから相当疲労が残っている。(招集は)一番難しい」と憂慮していたが現実となり、方向転換を迫られることになった。

 新生ジャパンの核に指名されたのが、田中だ。ある関係者が「NPBには正式回答はないが、直接(黒田)本人と連絡をとっている監督の説明通りだと受けとっていいだろう」と不参加だと断定した。代表内でも想定しており、水面下で先発陣の再編へと着手。09年の前回大会の経験がある田中の起用法の再考を迫られた。抑え候補でもあった田中を、先発の軸に据える戦略へと切り替えた。

 ローテーションは「メード・イン・ジャパン」の戦いを強いられる。先発陣は前田健、ソフトバンク摂津ら過去にWBC経験がない選手も含め、構成されることになりそう。WBCは球数制限が設定されており「1試合

 先発2人体制」で臨む構想。早めの継投策になるため、総勢13人を予定している投手陣は先発投手6人で編成する方針。黒田の辞退で、大きく顔ぶれが変わることになる。

 2年連続最多勝の巨人内海、広島前田健のローテ入りは確実。摂津、ロッテ成瀬のほか、ヤクルト館山と西武牧田の国際大会で有効な変則2人も候補になりそうだ。その中で田中の存在感が、成否を占うことになる。前回世界一となった09年大会の防御率1・71は、第2ラウンドに進出したチームの中でトップ。黒田らエース格の辞退を推進力に変え、世界一死守へ挑む。【寺尾博和】

 ◆WBC過去の投手起用

 第1回は14人、第2回は13人の投手を登録。日程的に余裕があるため、過去2大会とも先発は3人で回した。球数制限により完投は望めないため、カギを握るのはブルペン陣。前回は楽天田中、ロッテ渡辺俊、西武涌井ら所属チームのエース格を投入、2試合に先発したダルビッシュも準決勝、決勝では抑えに起用した。救援防御率は1・44。特にソフトバンク杉内(現巨人)を5試合すべて中継ぎで起用し、計6回1/3を無失点で優勝の原動力になった。分業制が徹底する米国は中継ぎ、抑えのスペシャリストだけで10人を登録した。

 ◆WBCの球数制限

 前回は各ラウンドとも5球ずつ緩和され、第1ラウンド70球、第2ラウンド85球、準決勝と決勝は100球に決まった。規定数を超えても対戦打者の打席終了まで続投できる。予告先発制を採用し、30球以上を投げたら中1日、50球以上は中4日の登板間隔を設ける。また準決勝で30球以上投げた投手は決勝で登板できず、期間中の3連投も認められない。適用は投手だけで、野手の緊急登板に制限はない。3月に行われる本大会の球数制限に関しては、12月のウインターミーティングで継続協議される。