代名詞の「何苦楚(なにくそ)魂」を燃えたぎらせた。古巣ヤクルトへ7年ぶりに復帰する岩村明憲内野手(33)が11日、都内の球団事務所で入団会見を行い、宮本の定位置、三塁のレギュラー奪取に挑戦する考えを示した。背番号はヤクルト入団時から4年間つけた「48」で、年俸は今季の10分の1となる1500万円+出来高払い。レギュラーの確約はない原点からの再出発となった。(金額は推定)

 屈辱の戦力外通告から再出発。岩村は、7年ぶりの復帰会見で「初心」「一から」と何度も繰り返した。ヤクルトから大リーグ、楽天とチームを変えてきたが、今回は状況が180度違う。拾ってくれた古巣に「野球をやれる喜びをかみしめている」と感謝した。

 年俸は1億5000万円から10分の1になった。レギュラーは約束されていない。かつての定位置三塁には、今季2000安打を達成した宮本がいる。移籍前は岩村が三塁手、宮本が遊撃手として01年には日本一の原動力となったが、大リーグ移籍後に宮本は三塁にコンバートになった。

 求められればどのポジションにも挑戦する覚悟を示しながら、三塁のレギュラー争いに挑む姿勢は明確にした。「選手である以上、試合に出たいですし、レギュラーになりたい。あれだけの方でも、挑戦していきたいと思います。まだ自分はその状況にはいないと思うので、同じスタートラインに立てるようにしたい」と宣言した。

 レギュラーをつかむには宮本との競争に勝つしかない。「チャンスをもらった1打席、1試合を大事にしていきたい」と目標を定めた。背番号は入団時から4年間背負った48。ヤクルトで01年から、楽天などでもつけた愛着の深い「1」は空き番号だが、提示されなかった。「また成績を残して、『1』を取れるようにしていきたい。初心に戻ってやります」と言った。

 大リーグ時代から約8キロ減量し、現在は92キロ。長く苦しんできた膝への負担も減りつつある。「アメリカを含めて、いろいろな球団を渡り歩かせてもらって、ここを最後にという気持ちが本当に強い」と言った。プロ生活を始めた原点で現役を終える覚悟で、最後の勝負に挑む。【前田祐輔】

 ◆ヤクルト近年の三塁手

 岩村はメジャーへ移籍する前年(06年)、全146試合中143試合に三塁で先発出場している。翌07年は飯原が108試合に三塁で先発し、宮本は遊撃での出場(129試合)のみだった。08年には宮本が三塁でチーム最多の56試合に先発。宮本は同年、遊撃でも57試合に先発(チーム最多)している。09年は117試合、10年は120試合、11年は132試合、今季12年は99試合と宮本がいずれもチーム最多の先発三塁を務めてきた。