キャンプ最終日、最後の時まで、巨人原辰徳監督(54)は無駄にしなかった。打撃練習を終えた大田泰示外野手(22)を連れ出し、向かった先は室内練習場。中に入るとカーテンを閉め、報道陣をシャットアウトした。約50分間、自ら打撃投手を務めながら、大田に打撃を指南した。「ちょっと迷ってるかなというのは見えたんで、そういうときは少し手伝う。共同作業の1つでしょうね」。時には左打席にも立たせ、腰の動きやバットの軌道などを矯正した。

 原監督が大田にかける期待の大きさは変わらない。今キャンプでもオープン戦まで通じて3割の成績を残すように通達した。裏を返せば、オープン戦までは起用し続けるということ。そこで結果を残すことが、大田の原監督への恩返しになるはずだった。だが、自己管理の甘さから右太ももを痛め、実戦では7打席連続三振。このままでは1軍メンバーから外れている他の選手に顔向けできないところまで、陥りそうになっていた。

 原監督は3月上旬には、開幕に向けたチームの軸を固める方針だ。WBCで7人が不在だが、大田が入り込めるかは、明日28日の侍ジャパン戦からの数試合が勝負になる。「自分自身、楽しみになった。アピールするのもそうだし、形を大事にしつつ、どんどん投手に向かっていく姿勢を見せたい」という大田。奮起が期待される。【竹内智信】