阪神村上頌樹投手(27)が、今季初完封をあと1アウトで逃した。9回2死一、二塁で坂倉に左前打を打たれ、1失点。123球の熱投も、9回2死一、三塁でマウンドを降りた。完封こそ逃したものの、26年初の中7日で臨んだマウンドで、今季2勝目を挙げた。

   ◇   ◇   ◇

村上らしい投球だった。無四球で今季2勝目。制球力のよさが際立っていた。

以前、村上に「間違えない投球」について聞いたことがある。「間違えない」にはいろんな意味があるが、制球力に定評のある村上に「コントロールを間違えないこと」の極意を聞きたかった。村上は「岡沢が…」と話し始めた。「高校時代、一番監督に叱られていたのが岡沢だったんです」と。智弁学園(奈良)でバッテリーを組み、大商大、社会人のホンダ鈴鹿でも捕手として活躍した岡沢智基さんのことだった。

投げた自分が注意されるべき状況でも、叱られるのは岡沢さんだった。「捕手が出したサインだと言っても、うなずいた以上は投手も責任を背負っている」のが村上の身上。捕手だけが責任を負う姿を見るのはつらかった。やりきれない思いをする中で、今につながるものが身についた。結果として球種の選択が違っていたとしても、うなずいた以上は全力でその球種を勝負球にする。捕手が構えたところに、必ず投げきる。智弁学園の小坂将商監督と岡沢さんのやりとりを自分のこととして昇華しながら、力をつけていった。

「絶対にコントロールは間違えない」緊張感を持って、坂本らのサインに応え続ける。捕手に恥をかかせないという覚悟。25年投手3冠右腕の試合を作る力の原点だ。【堀まどか】

【プロ野球スコア速報】はこちら>>