ソフトバンク寺原隼人投手(29)が「投げ込み王」に輝いた。宮崎キャンプ最終日の26日、「バランスを確認するため」とブルペンで82球。キャンプの総投球数はA組(1軍)最多の1412球に達した。「1500近くいけばと思っていたけど、久々に投げ込めました。何でも1番がいいですね」。周囲の期待が強まるFA移籍元年。3週間がかりで存在感を示した。

 名称変更されたヤフオクドームのマウンドに真っ先に立つのも寺原だ。本拠地“開幕”となる28日のWBCブラジル代表戦に先発し、3回を投げる予定。7年ぶりにホークスのユニホーム姿でプロの原点に戻る。「前回いた時とガラッと変わったところを見せたい」。速球だけでなく、緩急も操る大人の寺原で勝負する。「結果を出すことだけを考える。ピンチはいらないし、スイスイといきたい」。ゼロを並べ、先発ローテーション入りも真っ先に確定させるつもりだ。

 21日の紅白戦は3回4安打3失点(自責2)、4四死球と乱れた。その直後、スローモーションのシャドー投球で上半身の突っ込みすぎと下半身の開きを修正。「悪いときにどう修正したらいいか、つかめたのが良かった。バランスが良ければ取りたい時にストライクが取れます」。高い修正能力も備わり、この日のブルペンは低めに制球した。

 ブラジルのイメージを聞かれると、笑いながら「サッカー、サンバ、地球の反対側」と軽快に切り返した。仕上がりの良さからくる、心の余裕が垣間見えた。新たな1歩という思いを込めた背番号「11」が、満を持して、本拠地初陣で第1球を投げる。【押谷謙爾】