<WBC強化試合:日本0-1阪神>◇26日◇京セラドーム大阪

 侍ジャパンのみなさん、すんません…。阪神が、WBC日本代表に3安打完封勝ちでっせ。先発メッセンジャーが3回をピシャ。白仁田-川崎-伊藤和が虎の子の1点を守りきった。2番手以降は、1軍枠を争う必死のパッチ陣。3月2日にWBC本番を控えた侍たちにも恐れず、ズバズバッと切り込んだ。ええぞ、虎侍!

 侍ジャパンの強化試合は、がけっぷち虎投陣の晴れ舞台になった。先発ランディ・メッセンジャー投手(31)から「ゼロ」のタスキをつなぎ、終わってみればわずか3安打。侍たちを返り討ちにするシャットアウト劇だった。

 先陣を切り、3イニング無失点に抑えたメッセンジャーから後を受けた白仁田寛和投手(27)が、流れをもたらした。クリーンアップから始まった4回。先頭内川を二直に抑えると、4番阿部は高々と上がる左飛。続く長野も伸びきらない中飛に抑え、あれよあれよと3者凡退に仕留めた。

 2イニング目、2死から角中に三塁打を許したが、最後は松田のピッチャー返しをグラブに当て、落ち着いて処理し無失点投球にまとめた。2軍から途中で1軍昇格した沖縄では思うように結果が残せなかったが、土俵際でアピールに成功。「最後は紙一重でした。0点で抑えられて良かったです」と胸をなで下ろした。和田豊監督(50)も「ずっと後ろの方が、若いピッチャーが良くなかった。初めてじゃないかな。特に白仁田。今日は腕が振れていて、甘くても遠くに飛ばさせなかった」と高く評価した。

 1軍に途中合流した際は、高身長の風貌から「藤浪の影武者ができる」と関係者の間でもうわさされたが、自身も07年の大学・社会人ドラフト1位の意地がある。もともと持っている実力の片りんを見せ、周囲の声を黙らせた。

 3番手で投げた、安芸キャンプからこの日合流した左腕川崎雄介投手(31)も続いた。鳥谷、内川を連続三振。阿部を投ゴロに抑えるなど2回を6人斬り。中西清起コーチ(50)も「あれくらいは投げるんちゃう」と評価する完璧な投球内容で、筒井和也投手(31)離脱により手薄な中継ぎ左腕の候補に名乗りを上げた。

 8、9回を完全投球で締めくくった伊藤和雄投手(23)にはセーブがついた。「前のピッチャーがいい投球をしていたので」と、今季初の無失点リレーで、1点差勝利。沖縄では練習試合も含め7試合で44失点、1試合平均6・28失点だった崩壊ぶりがウソのようだ。

 投手陣の奮闘に中西コーチも「今日投げたピッチャーは自信を持ってやってくれたらいい」とたたえた。日本代表に強烈なカツを食らわす快投だった。【山本大地】