「おかわり君」の代役は、追い込まれても踏み込んだ。2月28日、ロッテとの練習試合で、1回裏1死一、二塁。4番に座った西武の新助っ人スピリー外野手(33=レンジャーズ3A)は、1ボール2ストライクからロッテ古谷の変化球を振り抜いた。左翼方向に舞い上がった打球は芝生席へ。来日初本塁打で、長打力と勝負強さを見せつけた。

 「2ストライクから打てたのは良かった。まだ学習しているところだよ」とクールな表情を見せた。「初対戦の投手ばかりだし、何を投げてくるか見ている。キャンプまでチームメートさえ知らなかったわけだし、どう野球をしていくのかも分からなかったが、準備が出来てきた」と、日本に適応する自信が芽生えていた。

 外国人枠の問題もある。投手のサファテ、ウィリアムス、野手はヘルマンが1軍当確。スピリーは実績のあるオーティズと争わなければならない。左膝を手術した中村の復帰時期は特定できないが、簡単に代役を務められるわけではない。本職は右翼でも2月27日の練習試合(対楽天)では一塁で先発。守備の選択肢を増やすことで、自らの働き場所を勝ち取る覚悟がある。

 他の外国人選手はこの日宮崎から帰京した。だがスピリーは明日2日からの高知での練習試合2連戦にも同行する。「初対決ばかりだから、たくさん打席に立ちたい。シーズンに向けての大事な準備になる」と学びの姿勢を崩さない。渡辺監督も「当たれば大きいのがある。ナイスホームランだった」と目を細めた。マジメな元メジャーリーガーが開幕4番をつかみに出る。【今井貴久】