<ソフトバンク3-2日本ハム>◇23日◇ヤフオクドーム

 一撃で決めた。ソフトバンクのブライアン・ラヘア内野手(30)が2点ビハインドの1回に逆転3ランを右中間へ運んだ。6本塁打、19打点はともにリーグトップ。得点圏での打率は3割9分1厘とめっぽう強い。結局、得点はこの1発だけで3安打での効率的な勝利。ついに借金を返し、勝率5割に到達した。

 陽岱鋼、鵜久森の足が止まり、ラヘアは悠然と駆けた。試合をうっちゃる逆転3ランだ。

 「狙い球を絞って強く打つことだけを考えた。スライダーもあったけど直球を待っていた」

 1回2死一、三塁。2ボール1ストライクからど真ん中にきた直球。多田野の失投を見逃すはずがなかった。打球は高い放物線を描いて右中間スタンドに吸い込まれた。2点のビハインドをたった一振りではね返した。

 両軍その後は無得点で、結局この一撃がV弾。ペーニャが本塁打なしと不振でいる中、新加入したラヘアの存在は大きい。日本ハム中田を1本上回る6本塁打と、19打点はいずれもリーグトップ。「個人的な数字は特に気にしない。それよりチームの勝ちさ」。得点圏では23打数9安打14打点、打率3割9分1厘とめっぽう強い。「打点を挙げるのが仕事だから」とさわやかに笑った。

 前カードのオリックス戦はトイレットペーパー持参で、京セラドーム大阪のベンチにいた。花粉症に悩まされ、くるくると紙を引き出し、鼻汁を拭きながら、汗を流していた。ほぼ花粉の飛散が終わった福岡なら鼻も、気分も爽快。バットでもすっきりした。

 秋山監督は「6本打ってんだぜ。トップだろ。自分のバッティングができている。自分のペースになってきたんじゃない」と持ち上げた。高校時代はバスケットボールでも有望選手で、司令塔として活躍。「東海岸では一番強かった。バスケでも大学から奨学金の話があった」というほど身体能力は高い。「自分はゆっくり吸収して成長する人間。一気にはいけないが、少しずつ」との言葉どおり日本にフィットしてきた。

 一時は5まで膨らんだ借金を完済した。ついに勝率5割。ラヘア、チームともきれいな上昇曲線を描き始めた。【押谷謙爾】