<楽天2-5西武>◇14日◇Kスタ宮城
苦い思い出に終止符を打った。西武岸孝之投手(28)が、今季2度目の完投で5勝目を挙げた。9回2失点で、Kスタ宮城では自身初の完投勝利だ。「楽天戦はあまり勝てていないですし、ここでの完投は初めてじゃないですか」。不振で1度は2軍落ちしたエースは自身3連勝とし、ポーカーフェースを少しだけ崩した。仙台市内で生まれ育ったが、Kスタ宮城は10年以来白星がなかった鬼門。実は11年前の悔しさも晴らす快投だった。
前日13日の試合とは一転して、マウンドには太陽の光が照りつけた。暑さの中、140キロ中盤の直球を軸に、カーブ、スライダー、チェンジアップを織り交ぜ、楽天打線に的を絞らせなかった。7回を終え、97球の完投ペース。スタミナの消耗も感じ始めた時に天候が味方した。ベンチ前でキャッチボール中だった8回表に雨が降り始めた。それは、11年前のあの日と同じ光景だった。
02年7月15日、宮城球場(現在のKスタ宮城)で行われた夏の甲子園の宮城大会2回戦。名取北のエース岸は、県内屈指の仙台二の好投手との投げ合いに2-4で敗れ、甲子園への夢を断たれた。「(思い出は)特にないです。たぶん雨が降ってたかな」。当時の雨は“悔し涙”となったが、この日は「雨が降ってくれたので、気温も下がって、体力的に楽になった」と笑顔に変わった。
仙台に到着した11日、実家に帰って、大好きだった祖父が眠る仏壇に手を合わせた。「なかなか来る機会もないので、手を合わせて」。多くを語らなかったが、心の中での会話をマウンドで体現した。登板15試合目で5勝5敗。「(自身の)借金がなくなったので、後半戦からは貯金を作れるように。チームに貢献できるように頑張ります」。雨がやみ、明るくなったグラウンド上で力強く誓った。【久保賢吾】




