<ロッテ3-4日本ハム>◇1日◇QVCマリン

 ご無沙汰していた快感に、日本ハム中田翔内野手(24)はくしゃくしゃの笑顔で浸った。前打者アブレイユが、中田と並ぶ22号ソロを放った直後だった。ロッテ唐川の甘く入った直球を、一振りで仕留めた。バックスクリーンに吸い込まれたアーチは、再びリーグ単独トップに立つ23号ソロとなった。

 「何試合ぶりですかね。久々の感触でした。点差は何点あってもいいんでね。投手を楽にするためにも、打てて良かったです」。本塁打は7月13日ロッテ戦(札幌ドーム)以来、11試合ぶり。チームメートのハイタッチに迎えられる中、今季4本目のアベック弾をマークした盟友アブレイユとは、腕を絡めて互いの1発をたたえ合った。

 思い切りバットを振れない日が続いていた。バットを押し込む際にたまった衝撃が、激痛となり右手親指の付け根を襲った。ドラえもんの手のように腫れた手のひら。シュート系の球は、打ち損じると特に患部に響く。打席や塁上で、顔をゆがめるシーンが増えた。トレーナーから衝撃を和らげるサポーターの装着を提案されたが「感覚が狂うから」と嫌い、痛みをこらえて打席に立った。球宴でも全3試合にフルイニング出場。4番の役割をまっとうするため、弱音は胸の内にそっとしまった。

 この日、気分一新で試合に臨んだ。前日の7月31日、兄貴分と慕う稲葉らと会食後、突然「オレ、髪染めたいんや」と深夜のコンビニに駆け込み、毛染め液を購入。ブロンドを、黒に染め直した。「やってもうたわ。イメチェン、イメチェン」と笑い飛ばしたが、周囲から派手な身だしなみをたしなめる声があったというのが事実だった。入団直後から、いろいろな髪形で話題をさらってきた中田だが、さほど髪形にこだわりはない。見た目じゃなく、実力で勝負とばかりに飛び出した後半戦初アーチ。“優等生ヘア”に生まれ変わった直後の1発で、暗い話題が続いていたチームの8月白星スタートを演出した。【中島宙恵】

 ▼中田がリーグ単独トップの23号本塁打を放ち、22号を打ったアブレイユとのアベック本塁打は6月26日ソフトバンク戦(東京ドーム)以来、今季4度目。2者連続アーチは初めて。中田が本塁打を放った試合は19試合目で16勝2敗1分け、勝率8割8分9厘。アブレイユとのアベック弾は無傷の4連勝となった。