<日本ハム3-2ソフトバンク>◇3日◇東京ドーム

 「二刀流」に挑戦している日本ハムのルーキー、大谷翔平投手(19)が崖っぷちのチームをバットで救った。3日のソフトバンク戦に「5番・右翼」で先発。初回2死一、三塁で野手出場9試合ぶりの適時打となる二塁打を放った。負ければAクラスが大きく遠のく一戦での先制打でチームに勢いをつけた。7回にも中前打で3打数2安打と4試合ぶりのマルチ安打。連敗を3で止める原動力となった。

 ネクストサークルから足を踏み出した大谷は、極限の集中力で打席に向かった。「立ち上がり、(バリオスの)球がばらついていたし、ここで何とか(点が)取れないかなと思った」。前を打つアブレイユが倒れ、1回2死一、三塁。4、5番で先制機をつぶせば、3連敗中のチームの士気に関わると分かっていた。

 1ボールからの2球目。内角に食い込む130キロのスライダーを、一振りで捉えた。打球はラインドライブしながら、右翼線を転がった。30打席ぶりのタイムリーとなる、先制適時二塁打。「しっかり打てました。(先制点が)取れて良かった」と、満足そうに振り返った。

 7回には江尻から中前打を放ち、今季13度目の複数安打も記録。直後には盗塁も成功させた。一時は2割6分台まで落ちた打率も、再び上昇してきた。調子を取り戻した要因の1つが、高卒ルーキーらしからぬ思考回路。毎試合前後には、配球データや傾向をチェックするが、重要視するのは対戦投手ではなく、足元に座っている捕手。「ピッチャーよりも、自分はキャッチャーで考えます。(この日の)細川さんだったら細川さんの配球がある。そこを意識して打ちたいと思っています」。投手であれば年間に何十回も対戦するわけではないが、捕手となれば別。リードの傾向や特徴をインプットし、打席で役立てている。

 レジェンド・シリーズで10年ぶりに復活した、縦じまユニホームを身にまとった。当時はまだ小学生。「イメージは…小笠原さんが着ていたのは(記憶に)ありますけど…あんまりないです」と苦笑い。ビッグバン打線と命名された「光」も、巨人のロッカー室には入室すら許されず、都市対抗野球などがあるたびに荷物整理をさせられた「闇」も知らない19歳が、かつての本拠地で、復刻ユニホーム初勝利を呼び込んだ。

 負ければクライマックスシリーズ出場圏の3位からも6ゲーム差に離される正念場の一戦。崖っぷちで光った「二刀流」ルーキーの奮闘に、栗山監督も「若い選手が頑張ってくれると、前に進んでいける」と目を細めた。残りは28試合。6日楽天戦(Kスタ宮城)は、尊敬する田中との投げ合いが濃厚。大谷は「どんどん勝っていきたいです」と意気込んだ。勝負は、ここからだ。【本間翼】

 ▼日本ハム大谷が初回に野手としての出場で9試合ぶりの適時打を放った。東京ドームでは野手5試合目の出場で、16打席目での初打点となった。同ドームではこの日も含めて16打数3安打で打率1割8分8厘。パ・リーグの本拠ではKスタ宮城が出場1試合で4打数2安打2打点の打率5割、京セラドーム大阪が出場4試合で9打数3安打1打点の打率3割3分3厘と出場試合数こそ少ないが好結果を残している。札幌ドームでは49打数13安打7打点で打率2割6分5厘。