<阪神8-4巨人>◇6日◇甲子園

 これが4番の働きでしょ!

 阪神94代目4番に就任して7試合目、鳥谷敬内野手(32)が宿敵巨人を粉砕した。5回、4番1号となる今季7号3ランなど4安打5打点。もう勝負弱いとは言わせない。最高の輝きで虎党のうっぷんを晴らしてくれた。いやいや、まだ足らん!

 強い阪神を見せてくれ!

 まだ足りない。まだ足りないが、少しだけ宿敵相手に鬱憤(うっぷん)を晴らした。キャプテン鳥谷が超満員の甲子園に快音を奏でた。1点差に迫られた5回無死一、二塁。沢村の初球、高め147キロ直球にバットの芯をぶつけた。弾丸ライナーが右翼席に突き刺さる。7号3ランで試合の行方を決定づけ、厳しい表情のままベースを回った。

 「思い切っていこうと思っていた。打った自分もビックリという感じ。何も考えずに1周しました」

 7月26日DeNA戦以来、35試合ぶりの1発。4番就任7試合目での初アーチは、普段通りの「つなぐ」という思考から生まれた。「向こうのミスでチャンスが来た。なんとか、つないでいこうと。ホームランとかじゃなく、一、二塁間を抜くとかいう感じで引っ張ろうと。最悪でも1点がほしい場面。ゲッツー崩れでもチャンスは広がるから」。4番抜てきの期待には応えたい。「4番として打席に立つのは最初だけだから」。自らのスタイルを貫き通した上で。

 関係者が大事に保管する1枚のメモ用紙に、生き様が刻まれている。オフは例年、年明けからロッテ井口らと沖縄で合同自主トレを行う。師匠たちと日々鍛錬を積む中、毎年のように仲間同士で公約を決め合う。今年、井口は「3割

 20本

 5盗塁」。一方の鳥谷は「3割

 20盗塁

 20本」と書き込まれ、「20本」の部分をグシャグシャに黒く塗りつぶしたという。自分はホームランバッターじゃないから-。作り上げたスタイルは大切にしている。

 この日は初回、左翼線にラッキーな二塁打を落とす。1点リードの3回1死一、三塁からはしぶとく一、二塁間を抜き、2点目をたたき出した。6回2死二塁でも左前適時打を決め、今季初の1試合4安打で5打点と大暴れ。プロ通算打点を590とし、阪神通算打点で今岡誠(587)を抜いて10位にランクインした。もちろん本人は個人記録には目もくれず、冷静に一夜明けを見据えた。

 「前回3つ負けている。今日1つでは、どうしようもない。負けられない試合。あす、あさっても勝てるように頑張ります」

 8月27日からの敵地巨人3連戦に3連敗。屈辱は白星で晴らしていくしかない。シーズン終了後はCSが待ち受ける。キャプテンの言う通り、虎は底力を見せつけておく必要がある。【佐井陽介】

 ▼鳥谷の1試合4安打は11年7月1日横浜戦(倉敷)以来10度目で、自身最多タイ。また1試合5打点は今季5月11日ヤクルト戦(松山)以来4度目で、こちらも最多タイ。鳥谷は4番で先発出場した試合で、8月31日広島戦4回無死二塁から9月5日DeNA戦8回2死一、三塁まで得点圏に走者を置いた打席で5回連続凡退していたが、ようやく4番の重責を果たした。