<セCSファーストステージ:阪神4-7広島>◇第2戦◇13日◇甲子園

 阪神のトップバッター西岡剛内野手(29)の闘争心は報われなかった。瀬戸際のCS2戦目。負ければ今季が終わる戦いで意地を見せた。1回、先頭で打席へ。バリントンの2球目、外寄り直球を強振するとライナーで中堅上空へ。バックスクリーンに吸い込まれるのを見届けると右拳を突き上げる。先制点を刻み「勝つ一心、それだけです」と気合十分だったが、空砲になった。

 メジャーの夢破れて、今季から阪神に新加入した。目標を「優勝」と公言。悲願を達成できず「試合については、何の言葉もないです。応援してくれたファンの方に感謝したいし、申し訳ない」と話すのが精いっぱいだった。

 窮地でこそ力量を発揮するのが西岡の強さだ。崖っぷちの1戦で、真価を見せつけた。5月18日ソフトバンク戦(甲子園)以来の初回先頭打者本塁打。阪神勢がポストシーズンで先頭打者弾を放つのは、62年日本シリーズ東映戦第6戦(甲子園)の吉田義男以来、51年ぶりのことだった。そんな快挙も色あせる敗戦になった。

 チームへの貢献度は計り知れない。不動の1番打者として活躍し、公式戦の打率2割9分はリーグ7位につけた。投手が苦しくなれば何度もマウンドに足を運んだ。本塁打を喜ぶ「グラティ」のポーズを取り入れ、おとなしいチームカラーも変えた。西岡は言う。「(今季に)満足する自分ではないし、満足するファンでもない。目標を高い位置に置くチーム。明日から来年に向けてスタートします」。悔しさを胸に秘め、来季への糧とする。【酒井俊作】