広島前田健太投手(25)が25日、リーダーの自覚をにじませた。健康診断のためマツダスタジアムを訪問。FA宣言していた大竹寛投手(30)の巨人入り表明を受け、決意を新たにした。先輩大竹との投げ合いに思いをはせながらも、移籍先が巨人であることに警戒。15勝した今季をさらに上回る投球を誓った。

 先輩の新たな船出を祝う思い。寂しさ。さまざまな感情が交差しているに違いない。それでも自分は一瞬たりとも下を向いてはいけない。前田健の言葉は自覚に満ちあふれていた。

 「寂しいですけど、仕方がない。バリントンを除けば、上の方の年齢になる。成績的にも大竹さんの穴を少しでもカバーできたら、と思っています」

 大竹の巨人入団が正式決定した。今季16年ぶりのAクラス入りを導いた「2ケタ勝利カルテット」は1年で解体となる。残る3人は前田健にバリントン、野村。ドラフト1位大瀬良、同2位九里ら、残り3枠の先発ローテ入りを期待される投手陣は軒並み若い。ならば、自分がより重い責任を背負えばいい。今季15勝した男が、10勝した大竹の分まで数字を残す-。さらなる高みを目指す背中で、投手陣全体を引っ張る覚悟だ。

 「巨人に行かれるということで、(巨人が)また手ごわくなる。みんなでカバーし合っていきたい。枠が1つ空いたという形で、新しい人が出てきてほしい」

 13年はCSファイナルステージで巨人に3連敗。前田健自身も第2戦で5回3失点と本来の実力を発揮できず、シーズンを終えた。悔しさは脳裏に焼きついたままだ。前日24日、トークショーを終えた後、しみじみと口にした。

 「(これまでは)正直、みんな優勝したいと言っても、想像がつかない目標だった。それを一つクリアした。来年はCSより優勝となる。最後は優勝しないと喜べないのかな、と思う」

 23年ぶりのV奪回へ、巨人大竹との投げ合いは避けて通れない。「最初は違和感があるでしょうけど、投げ合えるのは楽しみにしています」。チームの浮沈を担う絶対的エース。もちろん、負けるわけにはいかない。【佐井陽介】

 ◆大竹とマエケン

 前田健にとって大竹は、同じ高卒、ドラフト最上位入団で5学年上となる先輩。1年目の07年から指導を仰いだ。特に大竹の決め球だったシュートに影響され、右打者の内角に制球する変化球の必要性を痛感。ツーシームの習得につながったという。大竹がFA権行使を表明した翌日の13日に前田健は「シュートの握りを聞いたこともある。先輩だけど何でも言える相手。大竹さんが僕に聞いてきてくれることもあった」と話した。