ウワサの「スン様」はどこ!?

 25日、阪神加入が決まった韓国のセーブ王呉昇桓(オ・スンファン)投手(31=サムスン)をガードするプランが浮上した。最速157キロの直球を武器にする剛腕を、開幕までの実戦では同一リーグとの対戦を避けてベールに包む意向だ。呉昇桓は来年2月のキャンプを前に1月下旬の合同自主トレから史上最速での合流を望むなど、頼もしい前向きな姿勢も判明した。

 ベールは…なかなか脱がせません。虎の新守護神候補は、もったいぶっていい逸材だ。最速157キロは球児ばりにスピンがかかり、踏み出す足はワンテンポ遅れるという。タイミングが取りにくいフォームと速球は、「一見さん」は、ちょっとやそっとじゃ打てない。少なくとも開幕前に呉昇桓を丸裸にさせない。球団首脳は言った。

 「ストッパーなら短いイニングだし、何度か対戦してもなかなか特徴はつかめないだろうからね。簡単に、はいどうぞ、と見せる必要はないでしょう」

 国際経験豊富な「韓国のセーブ王」は、これまでも多くのセ・リーグ球団が視察した。ただ、虎戦士の一員となり配球の妙が加わったら化学反応も期待できる。縦のスライダーにも定評があるだけに、開幕前の練習試合やオープン戦は同一リーグ以外が照準。フリーでチェックできる沖縄・宜野座キャンプでも「マル秘ピッチング」があるかもしれない。

 使命感は十分にある。球団幹部が明かした。「年末からグアムでトレーニングするみたいだけど、そのまま沖縄に入りたいと言っている。意識が高いんだろうな」。12月中旬に予定する日本での入団会見を終えると、常夏の米グアムで自主トレを開始する。1月中旬には若手が先乗りしているキャンプ地の沖縄に、合流する意向だという。実現すれば、助っ人としては過去に例がない「最速」合流となる。

 古巣の韓国リーグ、サムスンは沖縄・恩納でキャンプする。勝手知ったる地で、キャンプイン前から新天地のナインと交流する。和田監督は「人となりというか、話してみないと分からないこともあるからね。不安もたくさんあるだろうし、その席で解消できれば」と会見の日を心待ちにした。早く見たくてたまらない剛腕は、なかなか見せないままシーズンイン。じらしてじらして、ドカーンと投げ込んでいく。