一流選手への第1歩を、静かに踏み出していた。日本ハム大谷翔平投手(19)が26日、高級ブランドショップがひしめくセレブの街、東京・銀座で来季のためにスーツを新調していたことを明かした。選手会納会の翌日となったこの日は、カーディガンにジーパンとカジュアルな服装で、新千歳空港から東京へ移動。成人となるプロ2年目を前に、まずは“身だしなみ”から気を引き締める。

 素朴な19歳が、2年目の来季へ向けて、ひそかに“勝負服”を準備していた。それも、世界の一流ブランドが軒を並べる街「銀座」で。

 大谷

 スーツを買いに行ったんです。シャツも何枚か買ったんですけど、一式で14万~15万円くらいだったかな?

 来年のために。一番高い買い物だったかもしれないですね。

 今季の球団公式スーツと同じ、オーダースーツの「麻布テーラー」で仕立てた。契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1500万円(金額は推定)で入団してから1年。高卒ルーキーとしては破格の待遇で入団しながら、高級品に全く興味を示さない男が手にしたのは、シーズン中に着用の機会が多いスーツだった。

 球団からは毎年、行事などで着用する公式スーツが支給されているが、稲葉や中田、陽岱鋼ら主力の中には自前のスーツで移動する選手もいる。自前スーツは、いわば一流の証し。空港や電車内など人目が多い場所で品格を損なわず、さりげなく個性をアピール出来るメリットがある。

 普段は「自分ではブランド物はほとんど買わない」という庶民派で、この日、かばんの中に忍ばせていた海外一流ブランドの財布とポーチは、すべてもらい物。「スーツケースも、かばんも、ジーンズも、時計も…。あれ?

 今日は全部もらい物じゃないかな?」。もらい物とはいっても、多くはチームメートからの“お下がり”というところが、ほほ笑ましい。

 今後は2軍施設のある千葉・鎌ケ谷で、肉体強化に励む予定。2014年はグラウンド内だけでなく、グラウンド外での変貌ぶりにも注目だ。【中島宙恵】