来季先発候補として期待の日本ハム上沢直之投手(19)が、「ワサビ克服」で2軍脱出の準備を整えた。13日、2軍施設の千葉・鎌ケ谷で自主練習を敢行。味覚もひそかに鍛えていた。「ワサビ、食べられるようになりました!」。1軍の拠点、北海道はすしの本場。本格派右腕は避け続けてきたワサビ入りのすしをクリアし、開幕1軍入りへ万全だ。

 恥が突き動かした。ワサビ嫌いは千葉・専大松戸高時代から。すし店では恥を忍んで、サビ抜きを注文していた。プロ入り後、先輩との食事では我慢して食べていた。「(ワサビ抜きを)頼む時、周りから見られる感じがした。羞恥(しゅうち)心が僕を動かしました」。19歳。カラシは苦手のままだが、大人の階段を1つ上ることに成功した。

 1軍主力級のチームメートとの会食も円滑に進むメリットがある。高級食の1つで、一流選手の多くが好んで食べるメニュー。「おいしく感じるようになったのは、味覚が変わったからですかね」と“舌”の成長を実感している。好きなネタは「ツブ貝」と通な一面も。秋季キャンプ中から首脳陣の評価は急上昇中だ。1軍ではサビ入りすしに負けない、ツンと鼻を突き刺すようなインパクトを残す。【田中彩友美】