独り立ちから恩返し-。阪神鶴直人投手(26)が、2年間合同自主トレを行ったカブス藤川と今オフは自主トレを行わないことを明かした。19日は上本と共に大阪・富田林市内の福祉施設「四天王寺和らぎ苑」を訪問。球児財産を生かし、開幕ローテ入りを誓った。虎の来季先発枠は現状、2枠が埋まっておらず、若手の台頭がチームの命運を握っている。

 鶴が巣立つときがきた。昨オフ、海を渡った先輩とのタッグは解消する。「球児さんとはやりません。向こう(アメリカ)でやるみたいです」。藤川とは2年連続で沖縄に乗り込み合同自主トレを実施していたが、今オフは別々の地でトレーニングに励むことになった。それでも鶴は前向きだ。

 「やるべきことを10月、11月とやってきた。自分のやりたいことを思い切ってできるところを探したい」。場所は未定だが、オフの期間を自らと向き合う時間とし、その先にある開幕ローテを目指す。

 「先発で勝負したい。現状で言えば、しっかりトレーニングができている。強い気持ちを持ってやっていきたい」

 今季は開幕から中継ぎで結果を積み重ねた。8月17日ヤクルト戦(京セラドーム大阪)では7回無失点で3年ぶりの先発勝利。マルチな役割でチームに貢献したが、来季は先発での勝負に腹をくくった。能見、メッセンジャー、藤浪、榎田と4人は現時点で確定。中西投手コーチは「2枚たらんね。今いる若いやつからの底上げかな」と期待して待つ。鶴も参加した安芸での秋季キャンプでは和田監督も「安芸の中から1人はローテに入るぐらいの気持ちで」と要望。V奪回へ向けチームの命運を握る2枠。岩田、秋山、白仁田らに隠れ名前こそ挙がらないが、鶴の口から出るはっきりとした誓いは心強い。

 この日の施設訪問の最後には、ユニホームに身を包んだ施設利用者の前で約束した。

 「開幕からローテの一角を担って、チームの優勝に貢献します」

 昨年の同時期には「球児さんに認めてもらいたい」と思いを語ったが、今季は1軍定着はならなかった。来年こそは-。先発ローテの一角に食い込み、たくさんの恩返し勝利を運ぶ。【松本航】