首位打者と最多安打のソフトバンク長谷川勇也外野手(29)が契約更改でも「首位」に立った。24日、ヤフオクドームで契約交渉に臨み、1億2000万円増となる年俸2億円でサイン。今オフ12球団で最高のアップ額となった。来季も打席での邪念を排除するため出来高払いはなし。3年ぶりの日本一奪回へ身を粉にし、個人では今年残り2本で逃した200安打に再挑戦する。(金額は推定)

 福岡市内で最低気温2・5度を観測したクリスマスイブに笑顔がはち切れた。記者会見で長谷川が「2億円!」と告白すると、場内はどよめいた。

 「プロに入ったころは1億円プレーヤーになりたいと漠然と思ったけれど、それ以上をもらうことになってびっくり」

 今季年俸は8000万円。1億円台を経験せず、いきなり2億円プレーヤーの仲間入り。アップ額ではこの冬、全球団を通じて最高。首位打者と最多安打の2冠イヤーを締めくくった。

 ただ、打撃の求道者が喜んだのは一瞬だけ。「うれしかったのもあるけれど、責任感の方が強くなった」。4位ながらの高い評価。主力の責任と義務が求められる。「1年間フルに出て、かつ(個人の)結果も出せた。だからこそチームの日本一、という気持ちが強まってきた」と次第に口元は引き締まった。

 昨年に続き、出来高払いは無用だった。「純粋に自分の打席の結果を求めたい。この打席でヒットを打てば…というのはいらない」。安打という目的を得るための手段がスイング。「納得のいくスイングができているか」と常に自問する長谷川にとって、金銭的なプラスαは邪念のようだ。

 今年はけがに強かった。キャンプで頭蓋骨骨折しても開幕に間に合わせ、少々の痛みは無理した。「僕の感覚では、歩ければ走れる。気持ちでしょう」。9月18日。楽天ハウザーとの対戦でハーフスイングした際に右手首を負傷。オフに一切のスイングを封印するほどのダメージにも「弱みを見せたくないし、年々痛みに鈍くなりますよ」。いい意味で鈍感力を磨いた。けがへの耐性が、球団初となるフルイニング出場での首位打者誕生を支えた。

 そんな長谷川はまだ高みを見る。今年はロッテ戦、QVCマリンの成績がいずれも打率2割6分台とカード別、球場別でも特に苦しんだ。「昼間はまぶしく、風で微妙に球も曲がる。何か考えます」。キャリアハイへの策は研ぎ続けた打撃フォームにも及ぶ。「僕の中で試したいことがある」。そして残り2本で逃した200安打もモチベーションだ。「あと2本打てるバッターになりたい」。求道者の旅はまだまだ先が長そうだ。【押谷謙爾】