日本野球機構(NPB)が、コミッショナーを支える常任の理事を球界OBから招へいすることを検討し、元広島の衣笠祥雄氏(66)が有力な候補に挙がっていることが9日、分かった。具体的な役職などは未定だが、日本代表「侍ジャパン」の強化などを担当する。これと並行して、NPBの事業拡大などビジネス面を担当する常勤の理事の人選も進める。新任の熊崎コミッショナーの下に、野球と経営、2人の強力な補佐役を据える「トロイカ体制」で組織改革を行う。

 球界が抱える課題は多く、コミッショナー1人で数々の問題を解決していくのは難しい。最初に検討された「ビジネス面」の担当理事に加え、代表チームの強化など「野球部門」を担当する理事を検討。水面下で現場を熟知した球界OBから候補者の絞り込みを行った。連続試合出場記録を持つ鉄人で、国民栄誉賞も受賞した衣笠氏を推す声が高まっている。

 熊崎コミッショナーは昨年末の就任会見で「コミッショナーの役割は肥大化というか増大している。常勤で日常的に取り組んでくれる方が必要と個人的には思っている」と要望した。巨人白石オーナーもこの日、2人の理事を置く案を明らかにし「トロイカ体制のような形が望ましい。(12球団で)ある程度、コンセンサス(意見の一致)は取れるのでは。年度末までに固まれば」と見通しを語った。NPBは今後、交渉を本格化させ、シーズン開幕までに新体制を固めるとみられる。

 ◆衣笠祥雄(きぬがさ・さちお)1947年(昭22)1月18日生まれ。京都府出身。平安(京都)では3年時に捕手として春夏連続甲子園出場。65年広島に入団し内野手転向。70~87年にルー・ゲーリッグ(ヤンキース)の持つ連続試合出場の世界記録2130を更新。国民栄誉賞受賞。88年の引退まで2215試合連続出場した。76年盗塁王、84年打点王、MVP。ベストナイン3度、ゴールデングラブ賞3度、球宴出場13度。通算2677試合、2543安打、504本塁打、1448打点、打率2割7分。96年野球殿堂入り。現役時代は175センチ、73キロ。右投げ右打ち。