<中日0-3阪神>◇24日◇ナゴヤドーム

 阪神鳥谷敬内野手(32)が3番のすごみを示した。わずか1点リードの8回に絶好の好機を築いた。1死二塁の加点機。キャプテンに迷いはない。中日又吉が投げた初球の外寄り直球を強振すると、二塁荒木も動けない。痛烈なゴロは右前まで達した。

 貴重な2点目となる適時打を放ったが笑みはない。「前の打席で打てていれば良かった。チャンスだったので、初球から行こうと思った」。勝者の弁はなく、反省が口をつく。6回1死二塁での遊ゴロ凡退を悔やんだ。それでも、8回の快打は間違いなく勝利を引き寄せた。

 貫禄の初球打ちだった。直前の大和はバントの姿勢だったが、又吉はボールが先行し、カウント3-1まで進んでいた。阪神ペースの攻撃で、完全にルーキーをのみ込む一撃だった。

 中日-阪神戦を視察する他球団スコアラーは「鳥谷はとても調子がいいけど、まだ逆方向への打球が目立つ。これで引っ張ってくれば…」と警戒した。3打席目まで岡田にゴロアウトで封じられていたが、最終打席で痛烈に引っ張った。7試合連続安打に延ばし、勝利に貢献した。

 パワフルな鳥谷には、和田監督も「トリの2点目が大きいな。あの2点目でいける!

 という感じになった」とたたえた。ゴメスやマートンだけではない。クリーンアップの一角として存在感は際立っていた。【酒井俊作】