<DeNA6-2中日>◇29日◇横浜

 DeNAが開幕から1カ月、25試合目でやっと連勝した。同点で迎えた8回、荒波翔外野手(28)のプロ初となる、2号勝ち越し満塁弾で突き放した。それまでは1点を奪い合うハラハラドキドキの展開だったが、4点リード後は新守護神候補の新人三上が無失点に抑え、会心の勝利をたぐり寄せた。5位ヤクルトに0・5ゲーム差の最下位ではあるが、かすかに見えてきた明るい兆しを頼りに巻き返しを目指す。

 DeNA中畑清監督(60)は興奮を隠しきれなかった。初の連勝について聞かれると「言わないでよ、それは!」と言いながらも表情は崩れっぱなし。「今日の勝ち方は理想的。1点差で粘って、こういう勝ち方ができるチームにしたかった」と勝利インタビューで機関銃のようにまくしたてた。

 試合前、2点差でリードしている時の心境を聞かれると、「手に汗握って震えているよ。オドオドしている感じ。それが本音だよ」と心中を吐露していた。苦い経験があった。2日の巨人戦(横浜)では5点リードの8回に一挙10失点で、終わってみれば9-15で大敗した。今季18敗で逆転負けは5試合もある。

 この日もベンチで“オドオド”していたに違いない。3回に荒木のソロで1点先制されるが、4回に筒香の適時打で同点に追いついた。さらに6回にバルディリスの犠飛で勝ち越したが、8回にはルナのソロで追いつかれるシーソーゲーム。「(適合球になって)1点の重みを感じた」と、“震える”展開に拍車がかかっていた。

 この緊張感を吹き飛ばしたのが荒波のグランドスラムだった。同点に追い付かれた8回1死満塁。カウント2-2から内角高め速球を振り抜くと、打球は右翼席に飛び込む勝ち越し弾となった。プロ4年目で初の満塁本塁打に「(田島は)球が速いので負けないように芯で捉えることを考えていました。監督にアドバイスされ、すぐ結果を出せて良かった」と期待に応えてみせた。

 28日の練習後、居残り特打を志願した。中畑監督からは「自分から早めにタイミングを取れ」と指摘された。速球派の田島に対して、その教えが実った。2月のキャンプで右手薬指を骨折。開幕から10日遅れの8日に出場選手登録された。出遅れた上に、25日の阪神戦では満塁走者一掃の失策も犯していた。「迷惑を掛けてきたので、連勝ができてよかった」と胸をなでおろした。

 中畑監督も「すごくうれしい。今までの苦しみを発散させてくれる満塁本塁打だった」と大はしゃぎだ。まだ最下位だが、明るい兆しは見えてきた。【矢後洋一】