<DeNA5-7広島>◇29日◇横浜

 おなじみの1発攻勢で勝利をもぎ取った。広島は4番ブラッド・エルドレッド内野手(33)の2打席連発から3番丸の同点弾、伏兵会沢の決勝弾と計4発をDeNAに浴びせ、逆転勝ちを収めた。エルドレッドは25号、70打点でリーグ最多を独走し、チーム83発は両リーグ断トツ。明日7月1日からの首位攻防3連戦でも、自慢の打力で巨人投手陣をねじ伏せる。

 あっさりと、という表現が似合う。1点を追う8回無死、3番丸が9号ソロでいとも簡単に試合を振り出しに戻した。DeNA万谷の2球目、甘く入った143キロ直球を右中間席中段にズドン。野村監督は「あの1発が大きかった」と振り返った。

 1回表に3点リードを奪いながら、5回裏に逆転された。丸は言う。「1点差だったし、焦ったり危ないという雰囲気はチームになかった」。必ず逆転できるという自信がチーム全体に根付いている。丸が同点弾を決め、9回には伏兵会沢が勝ち越し弾。打線の底力を証明する一戦となった。

 序盤から今季を象徴する1発攻勢を仕掛けた。主役は4番エルドレッドだ。1点先制した直後の1回表1死二塁では24号2ラン。高く浮いた国吉の147キロ直球を中堅左の中段席まで届かせた。1点差に迫られた3回1死、今度はライナー性の25号ソロを左翼席中段に突き刺した。この日飛び出した計4発はいずれも効果的。エルドレッドは「ホームランは試合を動かすことができる」と胸を張った。

 昨季はリーグ5位のチーム110本塁打。今季は現時点で両リーグ断トツの83本塁打を誇る。大振りするわけではない。甘いボールをコンパクトに強振する結果だから、安定感がある。指揮官は「ホームランはうちのパターンじゃない。いい点の取り方をしていかないと」と勝ってかぶとの緒を締めたが、他球団からすれば危険極まりない。

 エルドレッドは25本塁打、70打点でリーグ2冠を独走中。シーズン52本塁打、146打点ペースはともに球団記録(44本塁打、113打点)を大幅に更新する勢いだ。頼れる主砲が攻撃力を加速させ、明日7月1日からは首位巨人との3連戦。野村監督は「巨人をたたかないと上にはいけない」と言葉に気合をにじませた。