<オリックス8-5楽天>◇1日◇京セラドーム大阪

 オリックス西勇輝投手(23)が苦しみながら、両リーグ最速で10勝を挙げた。今季ここまで自身は2戦無敗、チームも8戦無敗の楽天を相手に序盤で4点のリードを許すまさかのスタート。5回で10本の安打を浴びたが、奮起した味方打線に助けられ、2ケタ一番乗りをやってのけた。

 「野手のみなさん、チームに迷惑を掛けましたが、こういった投球内容の中、5回まで任せてもらったことを次の登板に生かさなければと思います」

 西も粘ったが、チームも耐えた。3回終了時で高山投手コーチは3度マウンドに走ったが、ベンチの森脇監督は動かなかった。23歳の右腕が自分で投球を立て直すのを辛抱強く待った。

 打線も一丸となった。0-4の4回無死一塁でT-岡田が12号の反撃2ラン。前打者ペーニャが楽天美馬から左上腕に死球を受け、両軍ベンチから選手が飛び出して一触即発になった直後の初球をバックスクリーンに運んだ。

 5回は先頭・安達が内野安打で口火を切り、ペーニャの適時打で1点差。2死満塁から伊藤が逆転の2点打を左前に運んだ。「気持ちで打ちました!

 西が苦しんで投げていたのを自分が一番知っていますし、悪いながらも粘り強く投げていたので、とにかく点がほしかった。逆転できてよかったです」。一塁ベースで見せたガッツポーズに、熱い気持ちがこもった。

 西を助け、逆転で昨年の日本一チームに9連勝。開始直後は入りも少なかったスタンドをいつしか観客が埋めた。最後は約2万9000人が、19年ぶりにオリックスから2ケタ一番乗り投手が生まれた瞬間を見守った。【堀まどか】

 ▼西が両リーグ10勝一番乗り。オリックスでパ・リーグの一番乗りは95年平井以来だが、両リーグとなると54年梶本、64年石井、71、76、78、84年山田、83年今井、85年佐藤義、91年星野に次いで23年ぶり7人目。91年7月16日星野は野茂(近鉄)と同日達成で、単独では85年6月15日佐藤義以来29年ぶり。オリックスは楽天戦で開幕9連勝。同一カードの開幕連勝では39年名古屋戦、79年西武戦と並んで球団最長となった。