<中日5-6DeNA>◇28日◇ナゴヤドーム

 DeNA中畑清監督(60)の顔に疲れはなかった。延長12回4時間54分の熱戦を制し、4位を死守。今季初のビジター延長戦勝利に「気持ちいいね。ほんとにみんな、よくつながった。全員野球でいい粘りが出てきた。この後、すごく勢いがつくと思う」と頬を緩めた。

 殊勲の一打は、秘蔵っ子のバットから生まれた。延長12回1死二、三塁から、同監督の母校・駒大の後輩、白崎がライナーで左前にはじき返す決勝打。「バットに当てれば何かことが起こると思って、必死に食らい付きました」と、笑顔で汗を拭った。

 チャンスで最高のアピールをみせた。山崎が右足首を痛め、巡ってきたスタメン出場。この3連戦の先発内野手で、ただ1人の日本人だったが臆することはなかった。グリエルとの二遊間に備え、左手首のテーピングには片仮名でスペイン語の「ラピド(足が速い)」「アイトケ(バントあるよ)」と書き、積極的に声をかけた。リズムよい守備を打撃につなげ、プロ初の4安打。「これを続けていけるように頑張りたい」と、力強かった。

 普段は白崎を褒めない中畑監督も、「彼には特別な意識があるからどうしても厳しくなるけど、今日は存在感をみせたね」とたたえた。ナゴヤドームでの同一カード3連勝は、日本一になった98年9月以来。マシンガンとまではいかないが、終盤のつなぎで勝利を引き寄せた。今日29日からは首位巨人戦(横浜)。「苦しんでつかみ取った3連勝。地元に帰ってもう一暴れしたい」と、気合十分だった。【佐竹実】