<オリックス0-5ソフトバンク>◇16日◇京セラドーム大阪

 オリックスが首位ソフトバンクに痛恨の敗戦を喫し、4・5ゲーム差に広げられてしまった。西勇輝投手(23)が5回に李大浩に3ランを浴びるなど5回途中5失点KOされマウンド上で涙を流した。打線も振るわず今季初の2戦連続完封負け。今日17日も敗れればソフトバンクにマジックが点灯する崖っぷちに、オリックスが追い込まれた。

 その目には、涙があふれていた。5回、李大浩に致命的な3ランを喫した直後、西はマウンドに歩み寄った高山投手コーチに交代を告げられた。悔しさか、自身のふがいなさか。こみ上げる涙を、何度もユニホームの袖でぬぐった。ベンチに戻ると、チームメートがその前に陣取り、傷心の姿を隠すように覆った。逆転優勝の望みをかけて臨んだ直接対決の初戦は、ショッキングな敗戦になった。

 西

 すべてが僕の責任です。大事な試合と分かっていたので、申し訳ないというしかありません。本塁打だけじゃなく全体的にリズムが悪かった。次の試合のことは今は考えられない。今日のことを反省するのでいっぱいです。

 敗戦後、23歳は声を振り絞った。首位ソフトバンクを3・5差で追う立場。この一戦の持つ意味を、責任を痛感するからこそ、西はマウンド上で涙を流した。結果的には敬遠策が裏目に出た。2点ビハインドの5回1死二塁。バッテリーは、3回に適時打を許した内川を敬遠し、前打席で併殺に打ち取った4番李大浩との勝負を選択した。だが、8球目のスライダーが甘く入り、左翼5階席へ3ランを打ち込まれた。

 森脇監督は、今季12勝を挙げてチームを支えてきた西を責めることはなかった。「大一番はいやが応でも意識するし、その中で何ができるか。そこで答えを出すのがプロのアスリート。若いバッテリーには今後の財産にしてほしい」。頬を伝う熱い涙を明日の力に変えることを期待した。

 がけっぷちに立たされた。今日も敗れれば、ソフトバンクに優勝マジック7が点灯する。追い詰められたが、うつむいている時間はない。指揮官は「このぐらいで沈むほど我々はヤワじゃない。明日、しっかりやり返したい」と顔を上げた。【高垣誠】