<セCSファーストステージ:阪神0-0広島>◇第2戦◇12日◇甲子園

 広島前田健太投手(26)の今オフのメジャー挑戦が極めて難しい状況であることが12日、分かった。昨オフに将来的なメジャー挑戦希望を表明し、球団側も一定の理解を示していた。早ければ今オフにもポスティングシステムでメジャー挑戦する可能性があったが、今季は納得のいく結果を残せず、チームも3位でクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ敗退。球団が重視する「機運」が高まっておらず、来季はカープのユニホームに袖を通す可能性が高くなった。

 前田は宿舎をチェックアウトし、無念の表情で新神戸駅への歩みを急いだ。「今年、後悔の方が多い。もう少しこうすれば良かった、ということが多かった」。

 今季は勝負どころで勝ちきれない試合が目立ち、11勝9敗、防御率2・60。レギュラーシーズンでは巨人、阪神に10試合先発で2勝5敗と苦しみ、前日のファーストステージ第1戦でも敗戦。納得のいく成績を手にできず、夢の実現は延期となりそうだ。

 昨オフ、将来的なメジャー挑戦希望を表明し、球団側も一定の理解を示した。「自分がいい時に挑戦したいという思いはある」と訴え、今オフにポスティングシステムを利用してメジャー挑戦する可能性もあった。シーズン中の先発日には毎回、複数球団のメジャースカウト勢が視察に訪れ、米国でも何度も特集された。メジャー挑戦すれば確実にオファーはあると予想されるが、複数の球界関係者の話を総合すれば、今オフのメジャー挑戦は極めて厳しい状況だ。

 ポスティングシステムは選手の権利ではない。球団はファンの声、「機運」を重視していた。機運が高まれば、夢を後押しする構えもあった。今季、前田が例年通りの成績を残し、チームを優勝に導いていれば、快くメジャーに送り出す可能性も十分あった。だが、前田自身も納得できない成績に終わり、チームも2年連続3位でCS敗退。球団内に、機運は今ではない、という声が上がるのは当然の流れといえる。

 昨季は満足の3位。今季は悔しい3位。来季24年ぶりのリーグ制覇を目指す上で、前田抜きのチーム作りは考えられない。順調にいっても国内FA権取得は16年、海外FA権取得は17年。前田が今オフのメジャー移籍を希望しても、球団側は認めない可能性が高い。ファンが来季のV奪回を強く期待する中、エースを流出させるわけにはいかない。

 前田は、今後球団と話し合いを持つのかと問われ、「まだ特に何も考えていません。分からない。まだ終わったところなので…」と話すにとどめた。現時点で、来季もチームを引っ張っている可能性は高い。