実施競技の見直しでは、夏季五輪で最大28と定める競技数の枠を撤廃し、開催都市が複数の種目追加を提案できる権利が承認された。東京五輪では野球とソフトボールに加え、スカッシュ、空手にも採用の道が開けた。吉報を受けた8日夜、各競技団体が会見し、実施に向けてアピールした。

 午後9時20分過ぎから始まった野球・ソフトボールの会見には、テレビカメラ8台を含む、多数の報道陣が集まった。ソウル五輪監督も務めた全日本野球協会・鈴木義信副会長(71)は「北京五輪以降、復活を深く、強く待ち望んだ結果」と歓迎。そして「スタート地点に立ったと思っている。最終決定ではない。これからが勝負」と引き締めた。

 今後は正式復帰に向けて、国内の機運を高めることが必要になる。年明けからプロ・アマ、ソフトボールが三位一体となった「オリンピック対策委員会」(仮称)を設立。東京五輪組織委員会やJOCに向けてPRを行っていく方針だ。

 東京五輪での競技実施が正式決定した場合、野球界には多くの課題が出てくる。鈴木副会長は「チーム編成、使用球場、一部ルールの改正」と3点を挙げた。

 チーム編成は、プロ側と協力して、金メダルを目指す最強チームをつくる方針を明言。実力次第でアマチュア選手が入る可能性は残すが「期待に応えるチームをつくりたい」と言った。五輪は7月のため、プロ側にはシーズンを中断することを、働き掛ける考えだ。

 使用球場は、原則2球場を予定する。雨天中止などの可能性を含めて「東京ドームを使えるのが一番いい」と説明した。さらに、「予選は地方でやって、セミファイナル、ファイナルは東京でやる可能性もある」と私案を披露。復興支援のために東北の球場を使うことなども、検討する。

 一部ルール改正は、時間短縮のために、五輪復帰に向けて7回制を訴えてきた。今後も「7イニング制を採用することについて、前向きにプロとも話を進めていきたい」と話した。

 IOCが参加選手の上限を1万500人に定めていることに対して、登録選手を24人から22人前後に減らす案も検討。今後は経団連や文科省からもヒアリングの要請が届き、経済効果などを訴える方針だ。正式復帰に向けて、着実に活動を続けていく。【前田祐輔】