足もと固めて甲子園制圧-。阪神岩貞祐太投手(23)が苦手とする聖地での初白星へ、新スパイクを導入した。2年目の来季へ新たに契約を結ぶ「アンダーアーマー」の日本総代理店・ドーム社に7本刃のスパイクを発注。今季0勝2敗、防御率9・45と散々だった本拠地対策に乗り出した。

 「甲子園で勝ちたかった思いは強かったです。悔しい気持ちだけでした」

 180度から背中を押してくれるファンを前に、ことごとく打ち込まれた。もちろん実力の問題と自覚するが、マウンドとの相性も微妙な心理状態を揺さぶっていた。横浜商大時代から使用し、8月17日DeNA戦でプロ初勝利を挙げた横浜スタジアムは硬めのマウンド。それになじんだ岩貞は、軟らかめとされる甲子園の黒土に戸惑っていた。高1秋に本格的に投手を始めて以降使ってきた6本刃は、右足を踏み込んだ際左右にぶれていた。日本シリーズ前に甲子園で行われた練習では、対策として9本刃スパイクを試し履き。直感でピンときた。

 「すごく土をつかんでくれて、いい感触でした。踏み込みやすくなりました」

 持ち味の豪快な投げっぷりを生かすヒントが見つかった。アンダーアーマーのスパイクは7本刃と9本刃が似た感覚だという。現在は7本刃をキャッチボールなどで使用しており、感覚は上々。現在検討されている甲子園のマウンドを米大リーグ仕様に硬くするプランも「うれしいです」と追い風になる。先発、中継ぎにかかわらず、真価が問われる2年目。道具にも一切妥協することなく、臨戦態勢を整える。【松本航】