【ホノルル(米ハワイ州)16日(日本時間17日)=浜本卓也】巨人菅野智之投手(25)が、余すところなく「3年目の菅野の考え」を披露した。昨季はプロ2年目でMVPを獲得し、今季も2年連続の開幕投手が最有力。今やチームの大黒柱となった菅野の思考回路に迫った。

 朝8時半からの練習を終え、昼食に向かう正午すぎの車内。小雨が上がり、晴れ間が見えだしたホノルルの街並みを眺めながら、菅野がおもむろに語り始めた。3年目となる今季、原点の考え方に戻ると決めた。

 菅野

 (投球の)組み立てをシンプルにします。真っすぐで追い込んで、変化球でも何でも投げられる状態を作っていきたい。昨年は球数が多かったんです(※1)。いい時って、難しく考えずにできていたんですよね。真っすぐを投げて2ストライクになったら、落としたり曲げたりして。

 -そのために何が必要か

 菅野

 やっぱり、コンディションが課題ですよね。

 -下半身強化がメーンか

 菅野

 特に下半身だって、僕は言っていないですよ。体幹とか、全体的に強化したいと思っています。

 -昨季は終盤に肘を痛めた(※2)。下半身をより強化すれば、肘や肩への負担も減るのではないか

 菅野

 あの、よく「下半身、下半身」って言いますけど、一概には言えないと思うんです。じゃあ、外国人選手はどうなんですか。人それぞれで体は違いますよね。単純に「下半身を鍛えれば上半身の負担が減る」って考え方は、ちょっと素人的じゃないかとも思います。僕はそんなに上体だけで投げているように見えますか?

 僕はそうは思っていません。今は、今の投げ方がベストだと思っています。投げ方、メカニズムを変える必要はないと思っています。投げ方を変えることのリスクもすごいですからね。それよりも、痛くなるには、痛くなるだけの原因がありますよね。それを突き止めることが大事じゃないかと思ったんです。

 -では、昨季のけがの原因は何だったのか

 菅野

 実は、去年は序盤は良かったけど、途中から膝が少し痛かったんです。ごまかしながら投げていました。そう考えると、本当に万全だったのは(開幕から)8試合から10試合、あるかどうか。(痛みが)膝、指、腰と連動していた。関連性があった。チームに貢献するためには、まずはけがをしないためのコンディションというのが大事になると思ったんです。

 -現時点ではどうか

 菅野

 順調です。(要因の)1番はハワイに来ていることですね。暖かいところで、いつでも動けるのは大きい。去年は(春季)キャンプで背中を痛めてスタートダッシュができなかった。今はいつでも動ける状態を作っていく感じです。

 -今日の練習の球を見ていると、すぐにでもブルペンに入れそうだが

 菅野

 そうですかね。今年はしっかりとマイペースでやります。(春季キャンプ初日の)2月1日に入るかは別にして、ブルペンに入れる状態にはします。

 話し終えると、「わざわざありがとうございました。見たまんま、書いてください」と笑顔で車を降りた。既成概念にとらわれず、考え抜いたロジックを軸に鍛錬に取り組む姿に死角は見当たらなかった。

 ◆(※1)昨季は23試合に登板し2454球を投げ、1試合平均は106・7球。13年は27試合で2832球だったが、1試合平均にすると約2球少ない104・9球だった。

 ◆(※2)昨季は8月に右手中指の腱(けん)の炎症と腰の違和感を発症。復帰後の10月には右肘靱帯(じんたい)の部分損傷で登録を抹消され、ポストシーズンは登板なしに終わった。