頼むでしかし、開幕いけるで!

 「左胸鎖関節の炎症」で出遅れる阪神ドラフト1位横山雄哉投手(20=新日鉄住金鹿島)が24日、実戦登板に向けたプランが明らかになった。鳴尾浜での新人合同自主トレではキャッチボールを40メートルまで延長。投げる球の回転が藤川球児に似ていると大器の証言も出た。順調なら、3月27日開幕メンバーへの巻き返しも十分可能だ。

 横山の投じる球が力強くなっていく。鳴尾浜のグラウンドで1人外れてキャッチボールを行う表情も、日に日に明るくなってきた。言うはやすし。言葉で語らなくても、快方へ向かっているのは間違い

 

 ない。

 メガネを落としたように不鮮明だった開幕への道もつながった。球団関係者は「このまま何もなければ2月末に実戦登板もある。逆算すれば。今のところは順調にきている。もう少し時間をかけていきたい」と説明した。1月末に鳴尾浜で遠投を始める予定。2月の高知・安芸キャンプでは、ブルペン投球へとステップを踏む。焦らずとも見えてくるのは2月末、教育リーグでの実戦登板だ。

 40メートルまで延びたキャッチボールの相手をした伊藤敦規トレーニングコーチは「いい球を投げる。ボールもキレがある。本人は軽く放っていると言っているけど」と称賛。さらに「回転が(藤川)球児みたい」とうなった。最速156キロの「火の玉ストレート」を投じたかつての守護神藤川(レンジャーズ)の球のスピンを思い出した。

 実は握りも、球児流だった。横山は山形中央3年から、指をべったりとボールに密着させず、指1本分ほどの空間ができる握りで直球を投げている。指先でボールをつかみ押し込む感覚で、球に回転を生み出すという。藤川もよく似た握りで速球を投げ込んでいた。左右は違えど、類似点は多い2人だった。

 8日から始まった新人合同自主トレは、左胸鎖関節の炎症で出遅れた。ノースロー調整を続けてきたが、16日の室内キャッチボール再開から順調に回復。横山は「焦ってもしょうがない。開幕のときに1軍にいれたらいい」と、自分に言い聞かせるように口にしていた。スタートはつまずいたが、決して下を向かなかった。151キロ左腕がようやく、シーズン開幕へ照準を合わせた。【宮崎えり子】<阪神横山15年の歩み>

 ◆1月7日

 初めて鳴尾浜球場で自主練習。ノースローで走り込んだ。21Uワールド杯で準優勝した昨年11月16日を最後にボールは握っていないと明かした。

 ◆8日

 新人合同自主トレも、1人だけ別メニュー。トレーナーと1対1で、ダッシュなど。

 ◆9日

 「左胸鎖関節の炎症」と診断されたことが発表された。前日8日に大阪市内の病院で検査。

 ◆16日

 鳴尾浜の室内練習場でキャッチボールを再開。約10メートルの距離を取り2カ月ぶりのスローイング。

 ◆18日

 屋外でキャッチボール。トレーナーを相手に約20メートル。翌19日は約30メートルに延ばした。