「お参りターン」で優勝だ!

 西武は1月31日、キャンプ地の宮崎・南郷に入った。田辺徳雄監督(48)は前日30日に香川県琴平町の金刀比羅宮を訪ねたことを明かした。長い石段を上り、名物のうどんを食べまくり、滞在わずか6時間の日帰り弾丸ツアーで必勝を祈願。昨季の監督代行から今季は監督に昇格し、7年ぶりの日本一へ心身をささげる。

 田辺監督は優勝を求め、さすらう旅人のようだった。宮崎への出発を待つ羽田空港のロビー。「2日連続で空港にいるよ」と笑った。実はキャンプイン目前だった前日30日も機上の人となり、香川へ飛んでいた。

 恵美夫人の勧めで、初めて金刀比羅宮へ必勝を祈願しに行った。多忙なスケジュールの調整をつけて確保した日だったが、都内はあいにくの降雪。航空便の欠航も相次いだが、予約していた朝イチの便は何とか離陸した。「高松の上空で2、3回旋回したけど、何とか着いてね。でも着いたら晴れたから良かった」。15年シーズンの前途洋々の戦いを暗示するかのようだった。

 1368段の長い石段で知られる有名な参道を恵美夫人、次女の綾夏さんと3人で上った。本宮では「西武田辺徳雄監督~」と名前を読み上げられ、勝利を祈願。同地では「ここまで来て結果が悪かったら嫌だから」と、おみくじも引かない徹底ぶりだった。

 胃袋でも活躍を祈願した。名物のうどんを3軒もはしご。「今は体重が80キロ台後半」とダイエットを行っているが、中村の専売特許でもある“おかわり”で主砲の無事息災を祈った?

 上って、食べて、滞在時間わずか6時間の弾丸ツアーだったが、「御利益があるといいな」と真摯(しんし)に思いを込めた。

 宮崎空港に到着後は1人の男性ファンから「絶対に優勝してください」と両手でガッチリ握手され、なかなか手放してもらえずに笑った。指揮官もファンも7年ぶりの日本一を切望している。「(キャンプインで)ちまたで言う新年を迎え、すがすがしい気持ち。リーグ優勝で日本一。それだけを目標に戦います」。香川の人から「こんぴらさん」と呼ばれ、親しまれる聖地へのお参りに、勝利への強い信念が表れている。【広重竜太郎】

 ◆金比羅山(こんぴらさん)香川・仲多度郡琴平にある琴平山(象頭山)の別名。瀬戸内海国立公園、名勝、天然記念物に指定される。中腹には金刀比羅宮が鎮座。御祭神は大物主神(おおものぬしのかみ)と崇徳天皇。本宮は石段785段、海抜251メートルのところに建つ。奥社と呼ばれる厳魂神社は、1368段上った海抜421メートルにある。参道の両脇に讃岐うどんの店などが並ぶ。映画「瀬戸内少年野球団」などのロケ地にもなった。