午後2時、だれもいなくなったブルペンに、西武菊池雄星投手(23)が入った。ボールもタオルも持たず、土肥投手コーチを前にして、投球動作を繰り返す。静かな空間に、菊池の腕が空気を裂く音だけが響いた。「体に巻き付くような腕の振りがしたくて、やってました」と話した。

 投球動作を2つに分けていた。トップに入るまでの部分とトップから腕を振り下ろす部分。土肥投手コーチによると「トップの形を意識したいのと、腕ではなく体で腕を振る感覚を身につけたいから」というのが、その理由。ホーム側から見た形と三塁側から見た形をスマートフォンで映像に記録した。

 第1クールは4日間ともブルペンに入って投球練習をした。計200球を投げ、感触も良かった。そこで土肥投手コーチから、投げ込みよりもフォーム固めを行う提案があった。平地での遠投などのメニューをこなし、ブルペンでの投球練習はしないまま9日が過ぎた。「投げたいですけど我慢です」と、急がば回れのキャンプを過ごす。ウズウズした気持ちは、このクール中にも入るというブルペンで爆発させる。【竹内智信】