<首都大学野球:東海大7-0城西大>◇第1週2日目◇10日◇平塚球場

 今秋ドラフトの超目玉、東海大・菅野智之投手(4年=東海大相模)が、ドラフトイヤー初公式戦で剛速球を封印しながら0封発進した。城西大戦に先発し、8回2安打10奪三振。150キロ台は2球だけだった。ネット裏には、日米13球団23人のスカウトが集結。9季連続優勝を狙うチームは7-0で快勝した。

 新しくエースナンバー「18」を背負い、11年の菅野がベールを脱いだ。8回2死一塁。最後の打者との勝負に選んだのは、150キロ超の剛速球ではなく外角高め140キロの直球だった。空振りで、城西大の8番を3球三振に切った。

 スライド登板とはいえ、6、7回には150キロをマークしたから、球速が「出なかった」(菅野)というわけではない。奪った10三振中6個が、140キロ台の直球だった。「小手先に頼りたくない」とフォークやワンシームを封印。変化球はカーブ、スライダー、カットボールの3つだけに絞った。

 テーマは、力感を抜いた「真っすぐで押す」。きっかけは昨年の全日本大学選手権、明治神宮大会の準優勝だ。以前は1試合で150キロ台後半の速球を連発。だが連投に体力がついていかなかった。ピンチになると変化球でかわそうとし、連打された。「一番自信のある真っすぐで勝負できるようにしないといけない」。悲願の大学日本一のため、130~140キロ台でもキレのある直球を求めた。

 冬場はランニング量やウエートの負荷を増やし、下半身を鍛えた。感覚をつかむため、例年より1カ月以上早い12月上旬から毎日ブルペンに入った。成果は出た。「今日の試合は日本一への第1歩です」と目標は明確だ。菅野効果で、球場の観客数は昨年の1・5倍になったという。充実の最終学年をスタートさせた菅野に、「巨人原監督のおい」という枕ことばは必要ない。【鎌田良美】